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『NHKスペシャル 知られざる大英博物館』 – Vitrum Lab.

Books:本の紹介

『NHKスペシャル 知られざる大英博物館』2020.08.03

『NHKスペシャル 知られざる大英博物館』

 

  • NHK「知られざる大英博物館」プロジェクト編著
  • 2012
  • NHK出版
  • 197ページ
  1. 謎のミイラに隠された庶民の想い
  2. 解き明かされた庶民の暮らし
  3. ある男の人生に見る古代エジプト人の心の内
  4. ファラオと庶民が築き上げた古代エジプトの繁栄

vitrum lab.評

『NHKスペシャル 知られざる大英博物館』3シリーズの1つ。大英博物館の所蔵品の内、展示されているのはなんとその1%のみだという。また、歴史は支配者側から描かれることが多く、記録や遺物から古代の社会を再構成しても支配者側の視点に偏っている可能性が高いという特徴がある。このことから、本書のテーマはそのバックヤードに埋もれた99%の中から古代エジプトの庶民の生活をピックアップするという面白い取り組みでした。
本来、庶民の記録はほとんど残らないのですが、ある一人の男の人生を追える記録が見つかっており、
彼がどのような生活をし、仕事に就き、悩み、死んでいったのか追っている部分は興味深かったです。なぜなら、彼の親の教えや、彼の仕事での悩みなどは現代人となんら変わらなかったからです。時代や社会は違っても、
同じ人間だと思わせてくれる内容でした。
また、古代エジプトと言えば絶対的な権力者と奴隷とは言わないまでも庶民という立場のかけ離れた存在がイメージされますが、どうも庶民であっても王に対して自由に苦情を申し立てることができたらしいというくだりは目から鱗でした。こうした新たな発見は1%の展示品からは見えてこないし、展示としては地味になってしまいそうで、あまり取り上げられることはなさそうですが、研究者にはもっとくみ取って公開していただきたい。いまだに古代エジプトは王と奴隷というイメージが強く、そのイメージのままでは現代社会がどうあるべきかを考える時に参考にできる部分が少ないと思うのです。

最後に、個人的に興味があったのは、医療器具を紹介する部分に「ハサミ」があったことです。古代エジプト末期の壁画ですが、ここに糸切バサミが描かれていました。この数世紀後に古代ローマ帝国において吹きガラスが発明されますが、ローマガラスにはガラスをハサミで切らずに引きちぎった痕跡があるものが多々あります。当時、現代では吹きガラスに必須の道具のハサミが使われていなかった証拠ですが、ハサミそのものは存在していたことは知っていました。それがまさかここで見られるとは。古代エジプトの例ですが。

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2020.08.03 08:32 | , 考古学

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