『文化財保存科学ノート』
・・・保存科学は今なお成長期にある新しい研究分野です。そこでは、精密器機を駆使して材質を分析する研究もあれば、発掘調査現場でバケツのなかで調合した薬剤を使って遺構を保存する方法を開発する研究もあり、さらに遺構や遺物の保存のために適切な条件を解明する基礎的な調査など、実験室と工場の機能を兼ね備えた施設や設備のなかで、理学的な方法と工学的な手法をあわせて駆使ながら、さまざまの調査と研究が進行しています。・・・
保存科学を学ぶなら読むべき本の1つでしょう。知っておくべき保存修復例が書かれています。その中にガラスのことはありませんが、ガラスを調査研究する際に使う機器はいくつか登場します。たとえ使わないにしても、それらの原理や調査例は知っておいた方がよい研究者になれます。きっと。私はあまり偉そうなことは言えませんが、周りの同期や先輩後輩はかなり詳しく知識と経験を持って発掘現場に行ってましたので、すばらしい専門家になるはずです。
保存「科学」ですので、苦手な化学式がでてきたり、よめない単位記号がでてきたりすることも多々ありますが、比較的やさしく書かれていますので、第一印象ほど難しくはないと思います。そんな保存科学のテキスト的な本ですが、実際には素材や出土状況、その時の条件で多くの選択肢から最適の方法を選ばないといけません。その時そこにいるのは大抵、保存科学者ではなく発掘者でしょうから、保存科学を学ぶ人はもちろん、考古学を学ぶ人も知っておいて損はないと思いますので、読んでみてください。
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