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二連瓶 – Vitrum Lab.

Work:作品紹介

二連瓶2010.09.11

二連瓶(復元)

二連瓶

時代:3-6世紀
地域:東地中海沿岸
モデル:岡山市立オリエント美術館所蔵品

エピソード:

古代ガラスの技術復元において初めて取り上げたのがこの二連瓶だったので最も
思い入れのあるガラス。古代の技法を研究するのだから、現代にあまり見られない
形のものを探していたらこれを見つけた。大学卒業後も研究は続き、全体の技法の
解明には数年を要した。

当初は試行錯誤の毎日で、あまりにヒントがなかったので、古代における製造中心
地であったシリアではもしかしたらまだ作られているかもしれないと、シリアの工房
まで訪ね歩いたが、現代ではすでにその技法は受け継がれておらず、現地の職人
には「2つの口があるので難しくて作れない」とまで言われてしまった。

解説:

二連瓶とは試験管のように吹いたガラスを2つ横に並べてくっつけたような形をした
ガラス器の総称で、そのような形を本体として、さらに把手や吊り手、トレーリング装
飾が施されているものが多い。

現在ではどちらかといえば一般的ではない形であるが、古代においては多く作られ
ていたと思われ、中近東の博物館ではよくみられるガラスである。

用途は不明であるが、化粧用顔料の容器と推測されている。しかしなぜそれが二連
の容器である必要があったのかは分かっていない。一例として、片方の部屋は化粧
用の顔料の素材となる鉱物(方鉛鉱など)のストックに、もう片方はその鉱物とペース
トを混ぜるために使われたという説があるが推測の域を出ない。

技法の研究:

海外の文献ではそうではないが、国内のこの種のガラスの説明の多くは「長い試験管
を中央より折り曲げて作る」といった旨の解説がされているため、まずはこの方法で実
験した。

ガラス管を折る           折った痕跡
ガラスを折る            折った痕跡が残る。底に厚みがない。

この実験から分かるように、試験管状に吹いたガラスの中央から折り曲げると

  1. 折った痕跡が残る
  2. 底が薄くなる
  3. 器内部の壁が分厚くなる 

 という結果になる。すべて実物とは異なる特徴を残すことになった。また、実際
問題として「折る」という作業は飴細工のように簡単にはいかない。

様々な試行錯誤の結果、もっともシンプルでもっとも実物に近い結果を残した方
法はガラスを「挟む」ことであった。

挟む   厚みのある底部
吹いた玉を道具(ジャック)で挟む  底部は厚みが残ったまま  

この方法では上記の問題すべてが一度に解決され、さらに、折り曲げる方法では
試験管の底が二連瓶の片方の口になっていたが、わざわざ底に穴をあける必要も
なくなった。

この製作実験が示すのは二連瓶の解説でよく言われる試験管を折るという方法で
は実物と同じような特徴の二連瓶を作ることはできず、また作業の流れからしても
理にかなった方法とはいえないということであった。

以上は研究のほんの一部です。

参考文献:

  • 岡山市立オリエント美術館 1999年 『ガラス工芸 -歴史と現在-』
  • 島田 守 2002年 「古代ガラスの復元 二連瓶・三連瓶・クットロルフ」『GLASS』45 日本ガラス工芸学会
  • 同上   2004年 「技術から見た二連瓶」『GLASS』47 日本ガラス工芸学会
  • MIHO MUSEUM 2001年 『古代ガラス』
  • University of Pennsylvania Museum of Archaeology and Anthropolog 1997 EXPEDITHION , Vol.39, No.2 
2010.09.11 16:52 | 作品, 復元

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