bookmark(現代)
時代:2010年
地域:日本
在庫:有
〇と━と△が組み合わさったシンボルはカルタゴを含むポエニ(ローマ人はフェニキア人
のことをこう呼んだ)世界で最も崇拝された女神タニトを表している。カルタゴではよく目に
するシンボルであるが、フェニキア本土であったレバノン・ティールで発掘に携わっていた
時にもこのシンボルが刻印された鉛製分銅が見つかり、年代が分かるものとして注目さ
れた。I教授の嬉しそうな顔を覚えている。その時はガラスしか興味のなかった私である
が、まさかガラス製作活動の先が、こことつながることになろうとは思いもよらなかった。
カルタゴにおいてはケルクアン遺跡のとある住居跡にこのシンボルがくっきりと浮かび上
がる舗装モザイクはあまりにも有名である。
一方、ガラス製の人頭玉は古代フェニキア人によって製作、交易されたものを基に製作し
ている。これは地中海世界はもとより、ヨーロッパ内陸部においても発見されており、彼ら
の活動範囲の広さを物語っている。実物はもっと大きく、また、顔も3面あるものもある。
これらフェニキア関係のものを革ひもでつなげ、bookmarkとして仕上げた。2年前からア
イデアを練り、ようやく完成させた作品である。