古代ガラスの玉には「貼目玉」とか「同心円文玉」とか呼ばれているガラス玉がある。
『世界のとんぼ玉』より
↑ のように同心円状の模様があるガラス玉。
いたってシンプルなガラス玉。
ガスバーナーを使う現代的な作り方は
直火でガラス棒の先を熔かしながら下玉に熔着していく。
ガラス棒は炎で焼き切ることができる。
ところが、古代でバーナーがあったとは考えられず、せいぜい
炎で全体を加熱する程度、ましてやバーナーのように集中的に
特定の部分を加熱できるなんてことはできなかっただろうと考えていた。
とすると、ガラス棒を焼き切ることもできなかっただろうということで、
あらかじめパーツを準備しておいて、これを順次、下玉にくっつけていくという方法を
使っていたのでは?と考えた。
あらかじめガラス棒をスライスして作った円盤形ガラスを2色準備。それを大きいものから順番に
色が交互になるように下玉に乗せていき、同心円文を作る。この方法では集中炎は必要なく、
キルンのような温度の高い窯があれば製作が可能。
また、始めから断面が同心円文になるように作ったものを固着するという方法もある。
この方法による特徴は一番外側の色が広がりやすいという点。一番上の
ガラス玉の写真の中に、これと同じ特徴のガラス玉がある。
今回の実験では、バーナーのように集中炎を利用できなくてもガラス玉を作れる方法の
可能性を探った。同心円文はあらかじめ作ったパーツを乗せていくことで作ることはできたが、
そもそも下地となる玉はどう作ったのか?までは再現できていない。これに関しては、熔解ガラスから
直接巻き取っていたのではないかと考えている。なぜなら、円盤形ガラスをつくるためのガラス棒を
どの道作る必要があるため、熔解ガラスが必要だからだ。
・・・・・と、ここまではある程度、推測できていた。では実際に、熔解ガラスがあったとして、
それをどうやって芯棒に巻き取っていたのか?
考えてもみてください。普通に考えて、熔解ガラスの中に棒を突っ込んでガラスを巻き取った時、
芯棒の先に巻き取られるのです。しかしガラス玉というのは穴が貫通している。
ここでいったん研究はストップしてしまった。
つづく