『ミュオグラフィ』
最近大きく取り上げられているピラミッドスキャンプロジェクト。巨大建造物ピラミッドの内部を、石材を動かすことも傷つけることもなく覗いてみようという試みが活発に行われています。X線で体内を見るならともかく、大きくて分厚い石材に覆われたピラミッドの内部を見ることができるのか?それにはミュオンという宇宙線を利用します。正確には宇宙線が大気に当たって生成されるそうなので、放射線ではないとのこと。
この線に反応する乾板を観察対象の下に敷き詰めて並べ、感光するのを待つだけ。観察対象の厚みなどによって感光時間は異なりますが、これによって透過図が得られます。
X線ほどくっきりしないので、素人が見てもわかりにくいですが、内部の様子が分かります。もともとは火山の内部を見るために考案された方法で、本書の後半はそのことについての内容になります。
ピラミッドに対して応用された研究成果はこの本ではあまり詳しく知ることはできませんが、著者はピラミッド=王墓という立場から研究しており、興味深い解釈を知ることができました。
ピラミッドスキャンプロジェクトでは何やら未知の空間が見つかったということで、ミュオンによって調査場所を限定し、遺跡の破壊を最小限にとどめた調査ができると期待されています。本書はミュオンの入門書的な内容で、分厚い本ではありますが、非常に分かりやすい本でした。
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