Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

第26回 日本ガラス工芸学会研究会詳細2012.08.11

恒例の研究会が以下の要領で開催されることになりました。会員さんではなくてもご参加いただけます(試料代¥500だけ必要です)。
ガラスに関する研究会はなかなか開催されることがないので、特に学生のみなさんにはいい機会かもしれません。こじんまりとした研究会ですが、内容は現代のガラス研究を先導している方々ばかりで、また、聴講者の方もガラス研究をされている方が多いので、皆さんと接するいい機会と思います(ただ、当日にならないとどのような方が聴講されにくるのかは分かりませんが・・・)。

プログラム

13:00~14:30 吉田 淳一 「大阪北浜船場地区近代建築のステンドグラス調査報告―大阪市立開平小学校(旧集英小学校、旧愛日小学校)」

大阪市北浜船場地区に今も残る戦前の近代建築には、それに付随する窓を飾るステンドグラスがいくつか在りますが、現在までに15か所見つかっている。その中でも、ステンドグラスが嵌められていた旧い建築は、すでになくなっているが、新しい建築に移設または保存されているものを今回とり上げる。
大阪市立開平小学校は、統廃合によって二校の小学校から集められたステンドグラスが、新しい校舎の随所に嵌められ、再生を果たしている。これらの記念碑的な性格で残されたステンドグラスや資料によって、当時の面影を想像し、図面に基づいて建築当初のオリジナル位置への考察を試みる。

14:40~16:10 島田 守 「トルコ・ギョレジェのガラス工房」

今日ではガラス玉の技法といえば、卓上のガスバーナーの上でガラス棒を直接熔かしながら成形していく方法がすぐに思い起こされる。一方、これが存在していなかった古代におけるガラス玉の制作技法についてはまだ明確な答えが出ていないが、多くの研究者によっていくつかの方法が提示されている。その中の1つに、現代の卓上バーナーを古代版に置き換えた方法(ふいごで炎を立ち上がらせる、窯の一部に穴を設け、排熱を利用するなど)があるが、ガラス窯の遺構は見つかっても上部構造まで残存していることはほとんどないため、それについてはほとんど分かっていないのが現状である。単に古代版バーナーだけの問題なら、実験的には現代の卓上バーナーで代用して技法を追及できるし、実際そうして多くの作家が復元に挑戦されている。そこで、本研究ではあえて古代版バーナーが存在していたという前提を除外し、坩堝内の熔けたガラスから直接玉を成形する方法を研究することにした。その過程で探すことができたトルコのギョレジェにあるガラス工房は、まさにこの方法で現代もガラス玉を作り続けている工房である。実際に現地を訪れることができたので、それについて報告する。

16:20~17:50 加藤 慎啓 「岡山市立オリエント美術館所蔵ガラスの化学分析調査報告―ガラス様式と組成の特徴」

時代や地域ごとにガラスの様式や装飾が異なるように、原料やその採取地の違いを反映して化学組成もそれぞれに特徴を有することが知られている。本発表では、東京理科大学の中井研究室のグループで実施した岡山市立オリエント美術館所蔵ガラスの化学分析結果を中心に、近年の研究成果も交えて、ローマ、サーサーン、イスラーム時代の代表的なガラスとその成分の特徴を紹介する。

日時

2012年9月8日(土) 13:00~18:00

場所

大阪駅前第3ビル19階
大阪産業大学 梅田サテライトキャンパス レクチャールームB室

〒530-0001
大阪市北区梅田 1-1-3 大阪駅前第3ビル19F


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2012.08.11 08:33 | ブログ

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