『謎を秘めた古代ビーズ再現』
・・・こうした鋳造ビーズは、当時具体的にどのように作られていたのであろうか。実はそのビーズの始まりや伝来ルート、製作技法、文化としての国際的影響関係等も今なお多くの謎を秘めており、歴史ロマンに満ち溢れたものなのである・・・
日本で出土しているガラス玉を作るための型とアフリカで今も使われている型があまりにもそっくりなことに興味を持って読むことに。
実験考古学的な内容が珍しいです。内容も読みやすく書かれています。日本のガラス玉の展示では、昔の職人が型の中に熔けたガラスを流し込まんとするイラストをよく見かけますが、かなり間違った情報を提供しています。ガラスは金属のようには扱えませんし、型にあけた多数の小さな穴めがけて流し込むくらいならもっといい方法があったはず・・・・とかねてから思っていた疑問を、この本の著者も感じており、お会いしたことはありませんが親近感が湧きました(笑)
著者は偶然見つけたアフリカのビーズ製作の写真を実際に現地で確認し、自分で実験し、研究を発展させていきます。そこでモノだけの観察では見えてこないこと、たとえばガラスビーズは2度焼成しないと仕上げがうまくいかないことなど、自分で実験してこそ判明するがモノは何も語ってくれない、そこを証明するのが実験考古学の醍醐味だと教えてくれる本です。それにしてもアフリカで現在も使っている型が日本で出土する型とほとんど一緒なのは衝撃的でした。
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