『Conservation of Glass』
・・・・化学薬品の使用や、地下および水面下における発掘技術の改良によって以前では修復が不可能であった古代ガラスの保存が可能になった。例えば、中世初期のカリガラスは本来不安定で、埋葬に耐えられなかったり、また、破片が発見された時には大気に触れて分解したりするほど脆かったのである。よってガラスを保存することはガラスの歴史や技法を知るうえで最も重要なことである・・・
大学の先生に手渡された初の洋書がコレ。最も思い入れのある本です。大学卒業後も翻訳を続け、日本語の本でも知識が手に入る第2章以外は翻訳済み。珍しい内容なので本になるかも???と、原稿をとある方にお渡ししたところまで進みましたが、残念ながら実現していません。
タイトルは「ガラスの保存」ですが、内容を重視すれば「ガラスの保存科学」としてもいいくらいの内容です。ガラスの性質、歴史、技術、窯、劣化の原因とそれを防ぐ方法論、発掘の技術など、ガラスの保存に必要な科学的な知識と実践例が分かります。
ガラスの歴史や技術を語る本は多数あれど、文化財保存の観点から書かれた本は和書には皆無ですので、そういった内容を研究するとなるとおのずとこの本にたどり着くのではないでしょうか。
特に割れたガラスを修復したり、欠損部分を他の材料で補てんしたりするという実践例が見られるのは私の知る限り、これだけです。
ここで紹介した本は下から選んでご購入いただけます。