『レバノンの歴史』
・・・レバノンにおけるキリスト教徒とイスラム教徒が宗派の違いを乗り越えて共存できるか否かは、世界におけるキリスト教国とイスラム教国とが共存し、永続する平和を実現しうるか否かを占ううえでも大きな意義を有している。・・・
当然ながら、レバノンでの発掘に携わっていたことから関心を寄せました。当時はハリーリ首相の代でしたが、2005年2月に彼が暗殺される事件が起こり、その年の夏の発掘に影響がでるかもしれないということになっていたのですが、正直、レバノンの政治自体のことはあまり知らないままでいたので、彼がなぜ、どういういきさつで殺されなければならなかったのかということを知りたいと思い、サブタイトル”フェニキア人の時代からハリーリ暗殺まで”に惹かれて購入。その後、ガラスでフリー活動したり、就職したりでものすごく忙しくなり、間があいてはまたはじめから読み直し・・・を繰り返したため買って5年後に読破したものです。
レバノンの歴史を全体にわたって書いている本は数少ないので貴重な1冊になるでしょう。歴史学者が書いているわけではないので、考古学的な何かを期待しているのなら望み薄ですが、実際にレバノンで駐レバノン特命全権大使を務めていた方が書いた本ですので、特に近現代におけるレバノン周辺国も含めた政治的な思惑など複雑なからみが分かります。・・・といっても日本人に馴染みが薄い宗教観や複雑な周辺国の利害関係の把握がなかなか難しく、何度も読み返すか、入門的な知識を入れてからの方がよく分かるように思います。それにしても、中東戦争や内戦など数多くの戦乱を経験しながらよくもレバノンは復興したものだとつくづく感じます。
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