『宝石の歴史』
創元社「知の再発見」双書です。 ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドなど宝石には様々な種類がありますが、それぞれにまつわるエピソードやこれらが採掘される鉱山や国の話が豊富な写真、イラストとともに書かれています。いったん宝石が採掘されるとわかると、一攫千金を夢見て採掘者たちがどっと押し寄せ、鉱山がみるみる掘られていくのを見ていると、宝石が持つ魔力がそこまですごいのかと思ってしまいます。とはいうものの、現在人気のあるダイヤモンドなどが、いつの時代も重宝されていたわけではなく、各時代には各時代に認められた宝石や珍しい石というものがあり、石に対する価値観の時代による変化も見ものです。
この本を読んだのは宝石に興味があったというよりもこれをカットする技術について少しばかりの記述があったからです。ガラスをカットする古代の技法や設備に関しては、吹きガラスのそれと同じく情報に乏しく、詳しいことは分かっていませんが、ガラスが作られるはるか以前にすでに石をカットして装飾品として使うことが行われていましたので、この技法が応用されたのだと考えられます。それで本書に掲載されているような弓錐(軸に弓の弦を巻きつけて手動で軸が回転するようにしたもの)をつかったカット方法に目がいったわけです。というわけで、ガラスそのものについては書かれていませんが、カット技法について広く知見を得るために読んだのでした。
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