コップ、皿、碗、水差しなどの日常品は古代からずっと作られてきました。
そのうちの一つ、ワイングラスもそうです。といっても古代においてワインを飲む為に使われていたのかは
分かりませんが、形状からワイングラスと呼ぶことにします。
今、ワイングラスの注文を受けて製作中なのですが、古代ガラス的な要素を盛り込んでほしいということで、
色々と考えながら作り、その経過を手紙で(メールではなく)連絡しながら進めています。
ワイングラス1つにしても色々な作り方があります。カップとステムと台を別々に作っておいて、最後にくっつけていく方法、
これらを順番に作りながらくっつけていく方法、カップとステムを1つのガラスで作って、台だけ別のガラスで作る方法、
ステムも吹いて作る、ガラスの塊を成形して作る、台も同じく吹いて作る、熔けたガラスから作っていく・・・などなど。
これらの方法は全てアシスタントが必要となる技法ですが、古代においてはアシスタントはいなかったと考えられることから
どのようして作っていたのか少し前から取り組んでいました。家にあるカタログで色々調べているとやっぱり古代の職人です。一人でワイングラスを作る
やり方を編み出しています。
それは
全部一つのガラスで作ってしまうこと。
納得です。
ステムも台もカップ部分と同じガラスで作ってしまうのです。その要素を取り入れて依頼のあったワイングラスを作ってみました。
吹き玉からステム・台を作っていきます。ステムまで液体が入らないように、底面を道具で押し上げていき、ステムのところで
ガラスをしぼりきって塞いでしまいます。
ご要望の装飾をつけて、口を広げ、さらに波状の装飾を付けて完成。これらの装飾もローマ・ガラスで多用されていました。
まだ完ぺきではありませんが、何とかできそうです。カップと台のバランスは、最初に吹き玉にくくりを入れる時に決まってしまうため
この瞬間が一番大事になります。また、基本的に底に厚みを残しながら作ることに慣れているので、器壁も底も大体同じ厚みに吹くという
慣れない作業にとまどいましたが、これはこれで慣れていくでしょう。
このように一つのガラスで器を作る方法は、台つきの碗やコップ、水差しにも応用でき、この依頼を通してかなり勉強させていただきました。
感謝!