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「土偶・コスモス」展 MIHO MUSEUM2012.10.08

滋賀県MIHO MUSEUMで開催中の「土偶・コスモス」展に行ってきました。
タイトルにある”コスモス”とは「宇宙」を意味し、”土偶の宇宙観”といったところがテーマでしょうか。
展示内容は縄文時代の土偶がメインで、縄文時代にはガラスがまだ作られていなかったとされているので
ガラスの展示は一切なしで、土偶のことを全く知らない一人の客として見させていただきました。
縄文時代の土偶は日本史の中でもその造形美・歴史・謎といった視点で見ると突出しており、
世界的にも注目を浴びているようです。大英博物館では「The Power of Dogu」展なるものが開催され、非常に好評だったとか。

縄文といえば縄文土器がすぐに思い浮かばれると思いますが、土偶にスポットを当てた展示は意外とされてこなかったようです。
いまや1万点以上発見されているんですね。縄文土偶といえば「遮光器土偶」が印象深いですが、これも含めて、まるでTVの
ヒーロー戦隊のように土偶のオンパレードです。ほとんどが女性の特徴を備えていますが、だからといって全てが女性を表現している
と一概にはいえないようで、この物言わぬ遺物から当時の世界観・縄文人のメッセージを受け取ることに現代人はあくせくしている
ということで、さらなる研究が期待されます。
情報化社会とグローバル化によって多くの国々がどこも似たり寄ったりとなってきている現代からすると、縄文時代に作られた
目的も用途もいまなおわかっていないこれら土偶の存在感は、例えば古代の四大文明などと肩を並べられるほど強く、魅力に
溢れていることにあらためて気づきました。日本の古代文明は世界の古代文明に比べると原始的に見えるし、それほど壮大でも
ないかもしれませんが、なかなか侮れません。
MIHO MUSEUMのカタログはいつもスタイリッシュでかつアカデミックで好きなのですが、今回も素晴らしい出来栄えだと思います。
最近は博物館カタログを本屋さんでも見かけるようになりました。このカタログもジュンク堂で見かけたことがあります。
博物館だけでなく本屋でも入手できるようにすることで、大量印刷とコストダウンの実現、在庫を抱えるリスクがなくなるとか、認知度が向上するとか、
仕事柄、そういう見方をしてしまいますが 、入手しやすくなるのはいいことだと思います。内容については以下に簡単に紹介させていただきます。
といっても縄文土偶は専門ではありませんので、いらぬ偏見を持たせてはいけないのでごく簡単な紹介と構成 だけでご勘弁下さい。

  • MIHO MUSEUM
  • 2012
  • 341ページ
  • 羽鳥書店
  1. 土偶・コスモス
  2. 数字からみる土偶
  3. 土偶の世界

前述のようになぜ土偶全部が女性といえないのかや、縄文土器の特徴にみえる奇数という数字(偶数を意識する方が制作上は楽なはず)、といった
興味深い内容の最新研究成果を知ることができます。また、土偶とマンガという意外な関係を彫り下げた大英博物館のニコル氏の論考は、世界からみた日本の印象を垣間見ることができ、別な意味で興味深かったです。

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