トルコの第3の都市イズミルの都心部から南方、アドナン・メンデレス空港の近くにあるギョレジェという町にある工房。トルコを始め、中近東でよく見かける「ボンジューク・キョイ」と呼ばれる「眼」をデザインしたガラスの他、シンプルなガラス玉やその他、土産物用ガラスに使う魚型ガラスなどを製作。
その特徴は何と言っても伝統工芸であること。パイン材を燃料とし、最大4人で作業が可能な、ガラス玉専門とするには大規模な粘土製ガラス窯で小さなガラス玉が、職人によって手際よく作られています。世代を超えて伝えられてきた技術で、現代ガラスよりも泡や異物が多く入り込み、質感は現代の感覚で言えば「劣る」かもしれませんが、吹きガラスの窯に匹敵する規模でガラス玉を絶やすことなくずっと作ってきた伝統そのものに価値があります。近年は、中国製の安価なガラスが流入したり、過酷な労働であることや、目を悪くする仕事であるため、工房の数が減り、継承者も減ってきているといいます。
このような伝統的なガラス窯は古代ガラスの研究には大いに役立ちます。ガラスを熔かして成形する技術は基本的には古代も現代もほとんど変わっていないと考えれるためです。しかし、近代的な設備や道具を使うようになり、システマティックな現代のガラス窯で古代の成形技術を研究するには限度があります。
ガラス玉といえば真っ先にガスバーナーで製作する「バーナーワーク」が思いだされます。バーナーの炎でガラス棒の先端を直接加熱し、熔かして、芯棒に巻き付けていくという方法です。ガラスを「部分的」に加熱し、成形する点が特徴です。そのため、熔けたガラスは必要なく、よって窯も必要ありません。ガラス玉は吹きガラスよりもはるかに古い歴史があります。↓ の動画はバーナーワークによるフェニキア人頭玉製作の実験です。大きさは実物よりも小さいです。
古代の技術を研究するに当たって、ガスがない時代、これに変わるバーナーがどんなものであったのかを追いかける研究も必要かもしれませんが、しかし、フェニキア人頭玉の実物観察ではこの方法のように直接ガラスを部分加熱すると残らないような窪んだ痕跡などがいくつも認められることに気が付き、バーナーではない方法を考える必要が出てきました。
次の実験では、人頭玉の目、眉、鼻、髪、髭、といった顔のパーツをあらかじめガラスをカットして準備しておき、これを下地にくっつけていくという方法をとりました。これならばバーナーで直接加熱する必要がなく、全体を加熱できる窯があれば製作が可能だと考えたからです。
この方法ではパーツをとがった道具で下地(顔)に押し込めば窪みが痕跡として残るのですが、そもそもこの下地となるガラスはパーツでは芯棒に巻くことができないという問題がでてきました。そこでやはり熔けたガラスの存在を考えることにしました。しかし下地のためにだけ熔けたガラスを用意する=窯をつくるとは考えにくかったため、それならば全て熔けたガラスで作ることができないかという考えに至りましたが、近代化された日本ではそのような窯を探すことは困難で、なかなか見つけられずにいましたが、ようやくトルコでそのような窯が見つかったということで調査に行きました。
答えは全て動画にあります。これはまず思いつかないし、思いついて発表したところで何の説得力もありません。生で見ない限り。
My previous studies has shown Phoenician head beads may not be made by lampwork technique because they have some evidences which don’t remain if the technique was used. I thought the beads were made of molten glass through the making process.
Then, there are mainly some problems;
The movie shows the answers to these problems. It’s really interesting!