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「第64回 正倉院」展 紺瑠璃坏にすごい行列2012.11.07

「第64回 正倉院」展

  • 2012.10.27-11.12
  • 奈良国立博物館

 

この季節になると正倉院展。平日にもかかわらず博物館前は長蛇の列でした。いつも16時頃には嘘のようにこの列がなくなるので
本日もそれを期待して待ったところ読みがあたって待ち時間なしで入館できました。とはいうものの、館内はかなりの人でした。また、
帰る頃には駆け込み入館でまた列ができていました(笑)。

今回はチラシを飾る「紺瑠璃坏」が目玉でしたが、その他、ガラス玉なども数多く展示されており、予想以上にガラスづくしでした。
特にこの紺瑠璃坏は過去に見てきた正倉院ガラスの中でもvip扱いで、これだけのために一室設け、さらに見学者があまりにも
殺到するので後ろから見るだけでいい「2列目」と、展示ケース前でしっかり見たい「1列目」 の2コースに分けられていました。

当然、これだけを見に来たと言っても過言ではないので「1列目」コースに並びましたが、展示ケース前に辿り着くには30分かかるとの
こと。並んでいる間にも遠目に展示ケースは見えていますが、思ったよりも小ぶりで(人指し指と親指を広げたほどの高さ) びっくり。

ようやくケース前に到着して間近で見ることができても、後から人が来るので留まって見ることはできず、歩きながらケースの周囲を巡って
終わり・・・・ものの数分しか見ることができませんでしたが、やっぱり写真で見るのとは違うところがありました。例えば思っていた以上に
気泡が多いこと、それから何度も加熱したような、とろんとした質感。なにせ22個ものガラス環を1つ1つ本体に付けていったということなので、
これが本当なら、何度も加熱を必要としたでしょうから、その分、ガラスはシャープさを失い、丸みを帯びる傾向にあります。このとろんと
した感じは、ガラス環を1つ1つ付けていたことを示唆しているのかもしれません。

図録には面白い考察が書かれていました。このガラスの製作地、時代について、ガラスそのものは西アジア製と考えられていますが、
台に彫られた意匠から百済の意匠と推測されるため、百済で台が追加され、日本に渡ったということです。この台は、もともと坏には
脚があったがそれが破損したので付けたのではないかという発想。この発想はしたことがなく、レントゲン撮影できれば分かるかもしれませんが
ただ、同タイプのガラスや描かれた似たようなガラスに脚がついたものはなく、また、 脚をつけるとさらに高い技術が要求される(何度も加熱しな
おすガラスの場合はなおさら) などの理由から脚がもともとあった可能性は低いかもしれません。西アジアのガラスと東アジアの脚が合体して
日本にもたらされたことは、シルクロードが単に物流に利用されていただけでなく、新しいモノまで誕生させるきっかけを作り、いかに文化の交流
に影響を与えていたかが分かります。

2012.11.07 22:32 | ブログ, 博物館へ行こう

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