MIHO MUSEUMで開催される展示はどれもシンプルかつクールで、また、カタログも充実しており
書店で入手可能な専門書よりも読み応えがあることが多く、個人的に非常に好きな展示が多い。
ましてや参考文献の少ないガラス関連では、カタログが研究の強い味方となろう。
今回の「古代ガラス -色彩の饗宴-」は副題の通り、ガラスの色をテーマとしています。
ガラスはそもそもはガラスそのものというよりはラピスラズリなど貴石を人工的に再現するために
発明されたと言われています。私はガラスをカットするために使われた技法や道具が、すでに宝石を作るために
用いられていたものと同じではないかと考えたところから、古代ではガラスを宝石と同じ扱いをしていたのではないかと
考えていましたが、色から見たガラスもそのような結論に至るようです。
今回の展示の見どころはMHO MUSEUMがもつ非常に多くのガラスだけでなく、大英博物館所蔵の
「現存する最古のガラス片」「サルゴン2世壺」 「ガラス製造のレシピが書かれた粘土板文書」など、
普段は参考文献内の写真くらいでしか見ることのできないものが間近で見られることです。
これは必見です。
このほかフェニキア人頭玉など、MIHO MUSEUMがこれまで展示をあまりしてこなかったもの(私が知る限りですが)
も見ることができます。
もう少し暖かくなれば敷地内の木々が花を咲かせ館外もみどころとなります。それだけに来館者は多くなってきますので
ゆっくり展示を見たい方はこの時期の平日がおすすめです。