Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

翻訳2013.02.17

古代ガラスの研究ではたくさんの洋書に触れることになりますが、その時点で
日本人が研究するにはかなり不利です。かといって和書から学ぶものは限りがあり、
深く掘り下げるには洋書を読むことから逃れられません。

学生の時にあまりに古代ガラスに関する文献が少なすぎて愕然としましたが、
毎日が翻訳三昧でした。今もそれは続いていますが、
そうこうするうちに、なるべく自分が翻訳したものは残していきたいと思うようになり、
『The Glass Workers of Roman London』という本はその中の1冊ですが、
ページ数が少ない割に写真が豊富で中身も面白かったので、日本語版が
出版できないか、周囲の方に相談し、現在、色々とご協力いただいています。

ロンドン博物館に問い合わせ、あとはコスト面でクリアできれば実現ができそうなのですが、
これが現実問題、難しいかなと思っています。

出版てコストかかりますものね・・・・出版できればいいのですが・・・・
ただでさえ専門書は出版が難しいとよく聞きます。さて、どうなるやら・・・

この本は、ローマ時代のイギリスの遺跡から大量のリサイクルガラス片が
発見されたということと、実験考古学的な試みを合わせて考察しているところが
面白いです。リサイクルガラスが発見されたということは、当時すでにリサイクルガラスが、
吹きガラス発祥の地から遠く離れたイギリスで使われていたということになり興味深いですが、
さらに、原料からガラスを作っていなかったということになり、このことが吹きガラスが
猛スピードで帝国領内に拡大していった要因ではないかと思います。原料から作るとなると
その流通や質の問題が出てきそうですが、リサイクルガラスであれば、質はある程度保てるかと
考えます。また、窯の構造も坩堝を必要としない窯だったのかもしれません。

リサイクルガラスが大量に発見されたというだけではあまり伝わりませんが、
そこから考えられることは以上のようにたくさん出てきます。 そういう意味で
興味深い本です。

2013.02.17 23:53 | ブログ

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