レバノン滞在中は発掘作業が終わると宿舎で出土した遺物の整理や
買い出し、自炊、洗たく、散歩、個人的研究などに時間が割かれます。
拠点のアパートの1階と2階を借りていましたが、それでも多い時は10人近く
になるため、2つしかない風呂やトイレは取り合いになります。風呂は
やたら詰まる。シャワーの水がカルシウム分が多く、髪を洗うとギスギス
した感じになります。トイレは洋式とアラビック式(床に便器が埋め込まれている)
が併設されていますが、たいては洋式を使います。紙は流さず、ゴミ箱に。
これは初めてのレバノンでは衝撃的でしたがすぐに慣れました。
トイレはある日、早朝に起きて行ったらトイレの中に5匹ほどゴキブリがいて、
それを水かきで集めてアラビック式に流しました。この時はアラビック式が
役に立ちました。
↑ 宿舎。最上階が2005年に増築されていた
停電はしょっちゅう起こり、起きてる時ならまだしも、寝ている間に停電して
冷蔵庫が止まってしまうと、どの食べ物が食べても大丈夫なのかもはや
信用できなくなることもしばしば。
かと思えば、強い電流がいきなり流れ電球が急に割れることもありました。
変圧器は当然必需品ですが、それでも日本からレバノンに着いて
宿舎で準備を整えている時、初日でプリンターのコンセントから煙が出て
使えなくなったことも。
ネット環境は私が滞在していた頃はダイヤル回線。これ、若い人知ってるでしょうか?
つないでいる間ずっとお金がかかるってやつです。しかも遅い。
宿舎にテレビがあり、キャプテン翼、ドラゴンボールなど日本のアニメもやってましたが、
何言ってるか分からないのでほとんど見ることがない。ニュースとMTVくらいしか
見ませんでしたが、MTVで気にいった音楽をメモしておき、帰国途中でCDをよく買って帰りました。
食事は昼と夜はレバノン人の食事担当が用意してくれますが、朝と日曜日は自炊。
調査隊数人で歩いて近所のスーパーや八百屋に行って調達。水はミネラルでないと
飲めないので、これをちょっちゅう買い足さないといけない。これが10リットルくらいの
ボトルでないと追いつかないのだが、重い。
キッチンはプロパンガスを使って調理をする。炊飯器なんていいものはない。
自炊でご飯を炊く時は鍋を使う。「はじめちょろちょろ、なかパッパ。
赤子泣いても蓋とるな・・・」ってやつです。
時間に余裕がある時は買い物ついでにお茶します。
行きつけのカフェがありまして、なかなか小奇麗で居心地もよい。
たいてスイーツも美味しいのですが悪魔的に甘いものがあり、
一口食べただけで私は断念したものがあります。
シロップ漬けのスポンジに生クリームがサンドされたケーキ。
フォークを入れるだけでシロップが滲みだしてくる とんでもないスイーツ。
これを注文すると店員の顔が変わる(笑)「まじ、それでいいの?」みたいな。
毎年あたらしくレバノンへ来た後輩にこれを勧めてました(笑)
このほか、宿舎の近くには有名な遺跡が2つあり、特にcity siteと呼ばれる
遺跡は中世初期のガラス熔解窯址があり、よく通ってました。
これら遺跡も散歩コースとして昼食後によく行きました。
これだけやることが多く忙しいようにみえても、レバノンの時間は日本よりも
遅く進んでいる感覚があり、心にゆとりがありました。日本よりも居心地がいい(笑)
私はこの国の感覚がよく合っていたので、毎年レバノンに来ると得体のしれない
パワーが出てきてました。