ガーナのガラス工房について知ったのは『謎を秘めた古代ビーズ再現』という本を読んだ時である。
日本でも出土している、いわゆる「たこやき型鋳型」。粘土板に半球状の窪みがいくつも並んでいて、
そこにガラス粉を充填して、型ごと加熱するとガラス玉が出来上がるというもの。まさにこれとウリ二つの
鋳型を使って現在もガラス玉を作っている工房がガーナにあったという内容。
この型を使ったイメージ図として、古代人が液状のガラスを、それこそたこ焼きでも作るかのように鋳型に流し込むイラストで
古代のガラス玉作りを説明しているものをたまに見かけるが、現実的にはそれで玉を作るのは無理だっただろう。
ガラス工芸学会大会の発表後にHさんが提供して下さった資料がガーナのガラス作りだったのだが、
そこにはさらに驚くべき作り方でガラス玉が作られていた。非常に面白いので紹介させていただく。
まさに大阪人もびっくりな、これが本当の「たこ焼き式」。
ガラス粉を充填した鋳型を窯で加熱するところまで同じだが、ガラスが粘性を帯びた時に
型を窯から出してしまう。ガラスはまだ球状にはなっていない。ちょうどたこ焼きでいうと鉄板と接していた
下半分が焼けた状態だ。
その状態で職人はニードルで半液状のガラスをブスっと指し、くるっとひっくり返す。大阪でおなじみのたこ焼き返し。
こうして球状のガラスに成形される。ニードルで指したところが穴となって残る。世界にはまだまだ考えられないガラスの
技法があるのです。