『水中考古学』2017.03.28
『水中考古学』
- 井上たかひこ 著
- 2015
- 中央公論新社
- 228ページ
- ツタンカーメン王への積荷
- 元寇船の発見
- 海を渡った日本の陶器
- 中国の沈船、韓国の沈船
- 千葉県勝浦沖に沈む黒船ハーマン号
vitrum lab.評
著者は水中考古学者で最近精力的にこの手の本を出されている方です。
水中の遺物は空気にさらされていないため、状態が良好なことが多い。調査や引き上げには多大な資金と苦労が必要ですが、
文化財としての価値やそこから得られる情報は、非常に貴重なことが多いといいます。
積荷の調査から、時代や、どこの国の船で、どこからどこへ向かおうとしていたのかという、
ルートや当時の貿易関係、乗組員の構成、造船技術など様々なことが分かりますが、最近話題に
なっているのが元寇船の調査でしょうか。調査によって正体の分からなかった「てつはう」
が実際に発見されました。
古代の沈没船からはガラスが見つかることが多く、本書にもいくつか登場します。
・トルコ ウル・ブルン沖の沈没船からガラスのインゴット
・和歌山県 串本町沖で難破したトルコ船エルトゥールル号からのガラス小瓶 など
本書は学術的な内容というよりは、著者が実際に潜って調査した経緯や、調査によって分かったこと、
それから少しばかりの遺物の保存処理について簡単に述べたもので専門知識はあまり必要なく読めます。
vitrum labook
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2017.03.28 13:17 |
ガラス,
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