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『海のかなたのローマ帝国』 – Vitrum Lab.

Books:本の紹介

『海のかなたのローマ帝国』2017.03.31

『海のかなたのローマ帝国』

 

  • 南川高志 著
  • 2015
  • 岩波書店
  • 259ページ
  1. なぜローマン・ブリテンか
  2. ローマ帝国と大英博物館
  3. 海峡を越えたローマ人
  4. 征服と支配
  5. 属州ブリタンニアと「ローマ化」
  6. 北辺のローマ帝国
  7. 海のかなたのローマ帝国
  8. ローマ帝国支配後半期のブリテン島

vitrum lab.評

現在翻訳中の『The Glass Workers of Roman London』がローマ時代のロンドンを舞台にした内容ですが、ローマ帝国といえば、どちらかというと地中海や大陸側の動向に注目される傾向にあって、ブリテン島におけるローマ帝国に着目した研究はあまり見かけなかったため、翻訳の役に立つこともあるかもしれないということで読んでみました。
ブリテン島がローマ帝国に組み込まれたのは43年頃だとされています。80年頃にはスコットランド中部までローマ軍は侵攻しましたが、原住民の抵抗に遭い120年代に建設された「ハドリアヌスの長城」付近を属州の防衛線とした—ごく簡単な歴史はこのような感じですが、実際、本書で語られる内容もこの期間が中心となり、巻末にそれ以降のことが少し触れられている程度です。
テーマは「ローマ化」。前半は研究史に多くの紙面を割いていますが、「ローマ人」は「野蛮人」を支配下に置いたことで彼らを文明化した、という見方が最初は強かったといいます。原住民はローマ的な生活様式を希求することで文明化されていったという考えです。1990年代になってようやくこの考えに対する批判が起こり、皆がローマ風であることに価値を感じていたわけでない、と言われるようになりました。
ブリテン島では「ローマ化」はどう進んだのか?本書のメインテーマは中盤以降ようやく語られるようになってきますが、ローマ帝国中心部から遠く離れた海のかなたのローマ帝国・ローマン・ブリテンは、地中海や大陸でのローマ化の様相とは異なっていたということがよく分かります。その主張は発掘の成果というよりは、古文書の研究から述べられることが多いというのが本書の特徴で(著者は考古学者というよりは歴史学者)、その良しあしの判断は個人的にはできませんが、「大陸のローマ帝国」と「海のかなたのローマ帝国」という比較でその違いを述べていることは興味深いものでした。

vitrum labook

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2017.03.31 01:58 | , 考古学

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