Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

第11回アジア考古学四学会合同講演会「アジアの煌めき」①2018.01.23

明治大学にて開催された講演会に行ってきました。
副題にあるように”ガラスが結ぶアジアの東西”といえばシルクロードを想定します。
西アジアに位置するメソポタミアで発明されたガラスが、東の果て日本にどのようにして伝わってきたのか。
また、なぜそのようなことが分かるのか。視点も研究方法も異なるガラス研究者が、このようなテーマをもとに講演されていました。
忘備録としてここでまとめておきたいと思います。

*ただし、細心の注意を払っているつもりではありますが、録音して書き起こしているわけではなく、講演を聞きながら、
画像を見ながら書きとったメモでまとめているため、聞き間違い、聞き損じ、書き間違いもあるかもしれませんことをご了承願います。また、忘備録としての役割をもたせるために、内容に特別ことわりなく追記していることもあります。

本題に入る前に簡単に古代ガラス研究の現状について

西方のメソポタミアやエジプト、ローマといった古代ガラスの産地では
ガラス玉のほか、器も多く見つかっていますが、東端の日本に目を向けると、
ガラス玉が中心になります。ガラスの器では正倉院ガラスが特別有名ですが、
ガラス器の出土例は少なく、体系的な研究は難しいのが現状。

ガラスの玉とて、大量に出土しているものの外観上はどれも似たり寄ったりで、
いくつかの特徴から技法で分類はできるものの、それによって産地や交易ルート
を解明するのは難しく、これまで(そして今も)体系的な研究はされてきませんでした。
しかし、近年、非破壊分析法の発展と分析装置の小型化によって、ガラス玉の化学分析が
積極的に行われるようになり、大量のガラス玉を成分から分類できるようになってきており、
産地やルートが詳細に分かるようになってきました。こうした研究成果をもとに
5人の研究者が講演を行いました。

  • 基調講演
    谷一 尚(山陽学園大学教授) 「正倉院ガラスとその周辺の最新の成果」
  • 斎藤あや(大田区郷土博物館学芸員) 「弥生・古墳時代のガラスの生産と流通」
  • 田村朋美(奈良文化財研究所研究員)「化学組成と製作技法からみるガラス小玉の産地と交易ルート」
  • 小寺智津子(国士舘大学非常勤講師)「ガラスから見る古代東アジア社会とその交流」
  • 真道洋子(公益財団法人東洋文庫研究員)「イスラーム考古学とガラス器」

続く

2018.01.23 01:17 | ブログ, 研究会

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