Books:本の紹介

『100のモノが語る世界の歴史』32018.04.29

『100のモノが語る世界の歴史』2

 

 

  • ニール・マクレガー著  東郷えりか 訳
  • 2012
  • 筑摩書房
  • 334ページ孔子の時代の世界
  1. 神々に出会う
  2. 近代世界の黎明
  3. 最初の世界経済
  4. 寛容と不寛容
  5. 探検、開拓、啓蒙
  6. 大量生産と大衆運動
  7. 現代がつくりだす物の世界

vitrum lab.評

神戸市立博物館で2015年に開催された本書と同名の展示「大英博物館展 100のモノが語る
世界の歴史」展のカタログをさらに発展させて、1点1点詳細な解説を入れた読み応えのある本。
3冊あるシリーズ本のうちの3冊目。

テーマは大英博物館の所蔵品の中から、時代や地域が偏らないように世界全体を可能な限り平等に網羅できる
100点を厳選し、それらの解説を試みるというもの。この第3冊目は副題として「近代への道」が掲げられています。

年代でいうと1200年から現代までの人類史を代表するモノたちが取り上げられています。
宗教の拡大と腐敗、経済の活性化、グローバル化、植民地化、アメリカ大陸進出、世界大戦、アフリカ大陸の分断と独立、戦後から現代まで続く激動の時代。人類史はどこを切り取っても激動の時代と呼ばれるシーンがあったでしょうが、大陸規模、地球規模という意味ではこの時期がそれにふさわしいかと思います。現代まで禍根を残す人種やアイデンティティに関わる問題もこの時期に多く生じています。

内容はこれまでと同様、モノにまつわるエピソードを紹介。宗教の違いを超えた寛容さを示すモノもあれば、戦争を示すモノ、歴史の転換期にまつわるモノなどをみていると、本当に歴史というものは断続的ではなく連続的に紡がれていくのだと分かります。歴史的な発明と言われるものも、過去からの技術や思想を引き継いでいなければ発明されなかったかもしれない。

シリーズはこれで完結します。最後の100点目は現代にふさわしいモノが選ばれなければならない、ということですが、いろいろな葛藤があったようです。この企画展を見に行った時に、あなたが選ぶ101点目は何?というアンケートをしていました。私が選んだのは電子書籍です。

 

vitrum labook

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2018.04.29 06:30 | 博物館カタログ, , 考古学

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