『The Glass Workers of Roman London』2011.10.20
『The Glass Workers of Roman London』
- John Shepherd and Angela Wardle 著
- 2009
- 64ページ
- Museum of London Archaeology
- Introduction (はじめに)
- Before we begin, just what is glass? (まず始めに、ガラスとは?)
- How do you make a glass vessel? (ガラスの器はどのようにして作られるか?)
- How was glass used in Roman London? (ロンディニウムではどのようにしてガラスが用いられたか?)
- How many other sites in Roman London have evidence of glass working?
(ロンディニウムにガラス製造の証拠がある遺跡はどのくらいあるか?)
- What exactly was found at 35 Basinghall Street? (ベイシングホール通り35番で何が発見されたのか?)
- What did they use to make the vessels at the Basinghall workshop?
(ベイシングホールの工房で何がガラス製造に使われたのか?)
- What is the evidence for blowing glass vessels at Basinghall Street?
(ベイシングホール通りの吹きガラスの痕跡とは?)
- Do we know what shapes of vessel they were making? (どんな器を作ろうとしていたのか知ることは可能か?)
- Wasters? (不良品?)
- And what was the scale of production? (製造の規模は?)
- And when? (いつ?)
- Who were the glass workers? (ガラス職人は何者なのか?)
- Where next? (どこへ向かうのか?)
vitrum lab.評
ロンドンから発見されているローマ時代のガラス製造関連遺跡に関しての本で、内容は専門的ですが、一般向けに書かれた本なので読みやすく、豊富な写真はオールカラーで見やすく、非常におススメな本です。イギリスからはガラス玉が発見されているという本を買ったことがあるのですが、吹きガラスの痕跡を説明した本は初めてだったので読むことにしました。また、個人的には、イギリスに実験的な手法で古代ガラスの研究をされている人がいて(お会いしたことはありませんが)、おそらくその方のものと思われる実験用の窯や制作風景の写真も少し掲載されていて興味深かったです。
吹きガラスが発明されたのは紀元前1世紀半ばの東地中海沿岸地域というのが定説ですが、イギリスでの発見例は古いもので1世紀中ごろのもの。発明から1世紀ほどですでにイギリスに吹きガラスが広まっていたことに驚きです。そして、本書が指摘している、遺物が語る事実で重要なことの1つに、発見されたガラスのほとんどがリサイクル用に使うガラス片であるということ。原料からガラスを作るのではなく、割れた器の破片など廃棄ガラスを再熔解して作るという方法が当時すでに確立されていたということになります。当時のガラス技術を知る貴重な証拠といえます。
以上のように、この正方形の小さな本には、外観からは想像がつかないほど深い内容が詰まっています。
vitrum labook
ここで紹介した本は以下で取り扱っております。
2011.10.20 22:20 |
ガラス,
博物館カタログ,
実験考古学,
本,
考古学