新沢千塚古墳群出土カットガラス碗に続き、紺色のガラス皿も分析されました、という記事。
以前からこの皿に関しては、その形からローマ・ガラスという指摘がありましたが、
実は発掘された当初、この皿の内側に絵が描かれていたと報告されており、
その絵がペルシア風だということで、この皿はペルシアで作られたという可能性も指摘されていました。
化学分析によりその起源を明らかにしようという試み。
それによると組成がローマ・ガラスと同様だということで、このガラス皿はローマ・ガラスということに
なったと書かれています。また、2世紀まで使われていた消色剤としてのアンチモンも検出されたことから
年代が2世紀までに作られた皿ということまで分かったようです。
化学分析により、2世紀までにローマ帝国内で作られたということが分かった・・・・ということですが、
気になるのはアンチモン。これは本来ガラス原料に微量に含まれる鉄分によって青緑に発色してしまう
のを消す効果があると言われている添加物。一方、紺色を発色させる添加物としてはコバルトがあります。
これは発色力が強く、微量でも発色します。紺色を出すためにコバルトを入れているのに、消色剤を
入れるというのはどうも不自然。よってもともとアンチモンが含まれていたガラスをリサイクルした時に
コバルトが添加されたと考えるのが自然だと思われます。とすると、いつリサイクルされたのか分からないため
2世紀でない可能性もでてきます(リサイクルされる前のガラスが2世紀以降も伝えられ、もしかしたら3世紀に
リサイクルガラスとして使用されたのかもしれない)。またローマ帝国内で作られたという可能性以外に
別の場所で作られた可能性も出てきます(リサイクルされる前のガラスがローマ帝国外に持ち込まれ、そこで
リサイクルガラスとして使われたことも考えられる)。とすると結果的にはやはりいつ、どこで作られたのかは
断定はできず、ただ、ローマ・ガラスである可能性が「高まった」としか言えないのでは?と思うのです。
他に紺色のガラス皿が出土していないかなど、考古学的な成果が気になります。