近つ飛鳥博物館で入手したカタログに変わった形のガラス製勾玉を見つけました。
勾玉と言えば背を曲げたオタマジャクシのような形をしていますが、これは尾が腹部の方まで
巻きこむ形になっていて、初めてみる形状。
気になる方はコチラ。
色々問い合わせて保管場所が分かったので、実物観察させていただきました。
自己紹介のために復元品やら写真資料をたくさん持って行きました。
学生のころを思い出します(笑)。
勾玉を鋳造で作った証拠となる鋳型が福岡県の五反田遺跡から出土していますが、
この勾玉は鋳型は使っていないと思われます。尾を曲げる時にできたシワらしい痕跡が
見えます。
調査員の方も、この勾玉の形は他で見たことがないということでした。
藤の森古墳の周囲にたくさんの古墳がありますが、調査員の方によると、
それらの古墳は石を積み上げた石室に上から被葬者を埋葬する構造なのだそうですが、
藤の森古墳は横から埋葬するような構造になっていて、他とは違う特徴だとのこと。
この埋葬方法は朝鮮の古墳で見る方法と同じようで、被葬者も他とは違うのではないかということでした。
なので他とは違う勾玉であってもおかしくはないのですが、他にも朝鮮と同じ埋葬方法の古墳はある
のに、藤の森古墳の勾玉だけ異質というのも不思議。
日本にはガラス玉が非常にたくさん出土していますが、やっぱり体系的な研究がされておらず、
技法に関しても昔誰かが言ったことがそのまま受け継がれて、今にいたっている印象があります。
学生のような研究時間がないので、日本のガラス玉を研究するにはなかなかのパワーが必要ですが、
この勾玉を一度実験してみようか・・・
ちなみに藤の森古墳は現在、ポンプ場になっていて破壊されていますが、地下の石室は
移動され、同じ敷地内で見ることができるそうです。管轄は水道部のこと。
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