自分で作って研究してみようということで、調べたら岡山市立オリエント美術家というところで
「ガラス工芸 歴史と現在」が開催されていたということを知り、早速、アポを取って訪れました。
それはなんと、現地の作家さんと美術館がコラボで復元に取り組むという、まさに自分がやりたいと
思うことをされていました。これもタイムリーなお話。ただ、私は考古学的な視点でもっと掘り下げたいと
思っていたので、そこは研究の余地がありました。いただいた図録からさっそく製作テーマを選ぶことに。
どうせやるなら、と現代では見られないような形のガラスを選ぶことにして、選んだのが
二連瓶と三連瓶。
「二連瓶」「三連瓶」と検索すれば出てきますが、例えば二連瓶はこんな形のものがあります。
装飾の形が色々ありますが、共通するのは本体の内部が2つに分かれているところ。
この技法の詳細はコチラ。
そして三連瓶はこんな形。この出土例は少なく、形はだいたい皆同じ形ですが、内部は3つに分かれています。
↑ 復元品です。左が二連瓶、右が三連瓶。三連瓶はこれを卒業製作で提出。
しかし、まだまだ再考の余地があります。
卒論は前回紹介した『Conservation of Glass』の翻訳と復元品をまとめたものを提出。晴れて卒業となりますが、
私は進学も就職もしない道を選ぶことになります。前にも書きましたが、ガラスを研究する環境は自分の周り以外に
なかったからです。とはいえ、さらにお金を出してもらうことは憚られたので、進学はしませんでした。
また、各安のガラス専門学校の試験を受けましたが結果は前回の通り。それからガラスと保存修復といえば
イタリアだったので、イタリアの学校も探してみましたが、問い合わせまくってもガラスの保存修復をしている
ところがないとのことで断念。実はこのようにいろいろ動いてはいたのですが、どれも納得できないでいました。
つづく
*ガラスの保存科学に関する本は上述の 『Conservation of Glass』くらいしか世界的に見ても見当たりません。
同じ著者から『Conservation and Restoration of Glass』が後に出版されていますが、内容はほとんど同じで、
前著に七宝に関する記述が書き加えられているだけ。さらに前著では写真資料が掲載されていた部分が、なぜか
手書きっぽいイラストに代わっていたりと、図版資料は前著の方がいいような気がします。