『最古の文字なのか』
現生人類の祖先がアフリカをでて、ヨーロッパ大陸に進出した時の痕跡としてよく知られているのはフランス、ラスコーの洞窟壁画。躍動感のあるウシやウマの絵が特に有名ですが、著者がスポットを当てるのは、これらの絵の脇に描かれるような比較的地味な「記号」。驚くほど注目されてこなかったこれらの記号から、どのような情報を引き出せるのかが、本書を読む楽しさといったところです。
著者は主にヨーロッパの洞窟壁画を探す調査であちこちの洞窟に入って行きます。あまりに注目されてこなかった記号は、記録に残されていることが少なく、記録があったとしても名称に統一性がないため、自分の目で形を確かめる必要があったとのこと。
そうして集めに集めた記号の統計をとって、ようやく始まった研究はいきなり驚くべき結果を出すことになります。
32種類。
広大なヨーロッパ大陸、時間にして3万年。
広く長い時空間で使われた記号の種類がたったの32種類。
これが意味することとは?
旧人類の研究において斬新な発想で進められる内容は、著者も認める通り今となっては証明が難しいのは確かですが、新たな側面を広げることによって、ヨーロッパ以外の旧人類の痕跡を統計に入れようとする新たなステップにもつながって、ますます面白くなりそうです。
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