富田林市・廿山南古墳(つづやまみなみこふん)から出土した重層ガラス連玉が
近つ飛鳥博物館にて本日から展示されるということで見てきました。
常設展示のほんの一角、スポット展示として、いくつかの出土品とともにその
ガラスが展示されていたのですが、あまりの小ささに驚きました。
虫メガネが設置されているほど。新聞の記事などで見たときはもう少し
大きいものだと思っていたのですが、これほどまでに小さいとは・・・
これは記事でもよく公開されている拡大写真とX線写真。実物は
竹串ほどの直径くらいしかないほど小さいです。
銀箔が散りばめられ、くびれの入った小さな「連珠」。「連珠」という表現ですが
くびれで切り離して一つ一つの玉にする前のものなのか、この形状自体が完成品なのか
定かではないですが、このような形状のものが数点、くびれの数は違えど、見つかっています。
銀箔とはいえ、風化しているうえに小さく、展示ケースから離れて見ることになるので
肉眼ではほとんど分からず、言われてみれば何となく銀箔が見えるような見えないような。
個人的に気になったのは、連珠を通る穴でした。X線画像を見る限り、まっすぐではなく、節のある
芯棒が使われたような穴が貫通していますが、このような芯棒を用いた場合、ガラスが冷めた後、
心棒から引っこ抜くことができません。実物には芯棒が残っていないので、掻き取ったか、
焼けてなくなったのか、いずれにせよ現在バーナーワークで使われているような鉄芯ではなく、
掻き取れる軟らかいものか、燃える素材などが使われたことが推測されます。穴の中の状況が
ガラス越しだと見えなくて・・詳しいことは分かりませんでした。
小さくて薄いとガラスは常温下では一気に冷めて硬くなるため、作業時間が限られてしまいます。
この条件で銀箔を貼れたのか?(ガラスが冷めると銀箔がくっつかない)
くびれをどのように入れたのか?(冷めるとガラスが硬くなって成形できない)
気になりました。作業的には難しくないですが、ガラスがすぐに固化していくと、何度も再加熱が必要になるため、
芯棒が燃えやすい素材では最後まで仕上げるのは厳しかったでしょうし、そもそも燃えやすい素材で
作ることができるのか?も考えどころ。過去に、木の串にガラスが巻けるか試したことがありますが、
つるつる滑ってガラスが乗らなかったんですよねえ・・・
銀箔も連珠という形も難しくない技法ですが、これまでの経験から気になるのは以上のように
その小ささと薄さでありました。他の類例も詳しく見直す必要がありそうです。