『考古学・考古学者』2017.07.07
『考古学・考古学者』
- 掘るだけなら掘らんでもいい話-若き考古学の友へ-
- 古代史と考古学
- 考古学者は何をしてきたか
- 古墳時代研究についての私案
- 縄文式土器研究の歴史
- 日本旧石器時代人の追求
- 器具の発展について
- 生産の形態について
- 郷土考古学の考え方-紀伊と高山寺貝塚の場合-
- 下伊那の古墳文化と牧場
- 信濃と森本さん
- 越後路
- 富貴なるものの悲劇
- 久遠の行人-木喰五行-
- 解題
vitrum lab.評
古いです。日本考古学の黎明期に活躍した藤森栄一氏の本ですが、この本は藤森氏死去後に見つかった未発表の原稿などを
集めて編集されたものであるため、いくつかの章は未完成のままでした。病に倒れても病院で文献を山積みにして最後まで執筆を
辞めなかったというエピソードが書かれていました。
海外、国内の考古学者のエピソードや、研究史が前半部分、後半は著者の日本考古学の現状とあり方に対する考えが中心です。
海外の考古学者ではシュリーマンとモースが多く語られています。現在ではシュリーマンに関しては賛否両論あるところですが、
当時はシュリーマンは見習うべき考古学者だとみなされていました。
日本考古学については不勉強なため詳しくは分かりませんが、当時の考古学はまだざっくりとした枠組みの中で、考古好きの
アマチュアの力も借りながら少しずつ発展していた時代だったことが語られており、アマチュアも専門家と同じくらい評価して
区別しなかったということです。当時の日本考古学はまだ宝探し的なやり方で、学問的なものにするにはまだまだ足りないと
考えていたことが要所要所で感じられました。全体を通してところどころ専門的な知識がないと分かりにくい箇所はありましたが、
考古学専門書というよりは、考古学者藤森栄一の考古学に対する考え方を述べた随筆書のような内容なので、今から40年以上前の
本といえども、あまり気にすることなく読みました。もっとも、彼が今の考古学会を見たとき、どう感じるのかは知る由がありませんが。
vitrum labook
ここで紹介した本とお勧め本
シュリーマン関係はこちら
2017.07.07 00:29 |
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