『火の贈り物』
古代から近代までのガラス、ヨーロッパ、アジア、日本のガラス、装飾品、器、窓に使われるガラス・・・と
時代と空間、用途別に縦横無尽にガラスのことが書かれています。由水氏の得意とする、まさにこれ1冊で
ガラスのことが分かる内容。1977年出版で古いですが、基礎的なことは書かれている通りで、これだけガラス研究
の全学問領域を体系的に述べたものは今でもあまり見かけません。
もちろん、現在はもっと研究が進んでおり、当時よりも各部分においては詳細なことが分かってきています。
たとえば近年の日本のガラス玉における科学分析の応用は目覚ましく、この本が書かれた当時よりは
さらに突っ込んだ話ができるようになってきています。由水氏はガラスの本を数冊書かれていますが、
だいたいが同じような内容なので、これから研究する人にはどれもお勧めでき、そこから最新の研究に
進んでいくとよいかもしれません。技術にも精通されているので、技術からの解釈も面白い。
個人的には『竹取物語』にガラス玉をつくるエピソードがあることを興味深く読みました。その他、中世の窯や
ガラスのつくり方の指南書『さまざまの技能について』などの引用も当時の技術を知る上で参考になりなります。
この本は翻訳が出ていますが、難解な部分が多く、由水氏によって分かりやすく解説されています。
由水氏の本は下から選んでご購入いただけます。『火の贈り物』は取り扱いがないようです。