『シルクロード 華麗なる植物文様の世界』
・・・西アジアばかりでなく、やがて世界各地でそれぞれ文明の坂を登り始めると、幾何学文、動物文についで、植物文が登場します。それらはまさに百花繚乱、みごとにデザイン化された葡萄唐草はシルクロードを経て我が国まで到達しましたが、そのほかの様々な文様も大地から伸び、這い上がる蔦のように変容しながら、伝播していきました。・・・
シルクロードを連想させる模様を探していた時、植物文様の資料がたくさん載っているこの本に出会いました。古代よりそのモチーフは印章や柱頭など、さまざまなものに使われていますが、そういった例を目次のように地域ごとに分けて紹介されています。植物は環境によって生態が違うので、地域によって身近な植物が違うため、それが地域差となって表れています。例えばエジプトではパピルスやロータス(睡蓮)がよく使われ、メソポタミアではパルメット(なつめやし)がよく使われた・・といった具合です。
植物がテーマだけに、資料は植物によって分けられているのが新鮮でした。あとは索引がついていればよかったのですが・・・
ガラスはモザイクガラスが少しだけ登場します。そしてミレフィオリガラス。これは金太郎飴のように、どこを切っても同じ文様になるような棒を、いろいろな色とサイズのガラスを組み合わせて作り、短くスライスしたものを型の中に並べてお互い熔着させて作った器で、吹きガラスが始まる直前に流行していたガラスです。技法の解明はもっとしなければなりませんが、とにかく手間のかかる技法です。あとはガラスが生まれる前のファイアンスと呼ばれるガラス状物質でできた製品も。植物って思ったより多くデザインとして取り入れられていて、ディフォルメされていたりしてすぐには分からないかもしれませんが、この本を読んで身近に感じるようになりました。
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