『宝石の考古学』
・・・この本であつかうのは、古代の宝飾品である。とくに近東及び古代ギリシア・ローマ時代の地中海世界の作品を中心にしている。いままでどのようなことがわかっているのか、どのような方法で調べたらよいのか、そして得た情報を使って古代史をどうひもといていくのか、という点に主眼をおいたつもりである。宝飾品の美しさだけを問題にするのではなく、美術史や考古学をより掘り下げていきたい。科学的な観察や分析を併用したり、製作技術や使用に関する美学的そして社会的な要因まで考えていきたい。・・・
大英博物館双書というシリーズ本の1冊です。 『宝石の歴史』とはまた違って技法や科学的な視点を中心に宝石を取り上げています。また、宝石だけでなく、装飾品に使われている針金の技法にも触れていて、興味深いです。
宝石は装飾品として用いられていますが、宝石は掘りだされたままではただの石です。これをカットして研磨してその美しさが引き出されるのですが、それをカットするためのドリルにダイヤモンドが使われていたという調査に特に関心を持ちました。本書は宝石に関する内容ですが、私は宝石のカット技法をガラスにも応用したのではないかと考えていたためです。
宝石に関する考古学的な研究はありそうでなかなか見つからないのが現状です。どうしても宝石と言えばその美しさを紹介する本が多いため、それには目もくれず、違う視点で研究することが難しいのでしょうか?(笑)
ガラスについては少しだけ書かれていますが、エナメルが中心です。粉末状にしたガラスを金属の上で熔かして作る宝飾品のことで、七宝ともいうべきものでしょうか。割かれているのはほんの数ページだけですが・・・
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