『地中海シルクロード遺跡の旅』
どんぴしゃで興味のある国々ばかりの内容だったので手に取りました。旅行の内容は著者が過去に行ったことのあることを思い出し執筆されたようで、最新情報ではありませんが、読んでいると当時も今もその国の雰囲気はあまり変わっていないような気がします。行ったことのある遺跡がもりもり出てきて懐かしかったです。本書に登場するシリアで道案内をした人物スーヘルさん、私はスヘイルと呼んでいましたが、おそらく私がシリアを訪れた時のドライバー兼ガイドとして行動を共にした人と同じだと思われます。そして、レバノンの発掘に最初に誘って下さった現・京都大学大学院の泉教授、パルミラ出土碑文の解読を手掛けられた母校の酒井教授、シリアでパルミラを案内して下さった西藤さん・・お世話になった人がたくさんでてきました。びっくりです。
著者は中近東を専門に研究されている人ではありませんが、ひょんなことからシリアのパルミラ発掘を手がけることになります。そういったことから周辺地域に関心が行き、各地を旅行したそうです。長期発掘を若い考古学者に任せることになり、そこで当時、奈良大学の泉教授に依頼し、たくさんの発見がありました。その後、泉教授はとある事情のため帰国、後任に西藤氏が選ばれ、現在も調査は続けられています。実は、泉教授のパルミラ発掘の新聞の記事を、高校生だった私が見て、この大学に行きたいと思ったのです。その後、シリアに行く機会を得て、西藤氏とお会いしました。シリアの砂漠でごちそうになり、夜になって帰る頃の、砂漠の上空の満点の星空を今でも覚えています。めっちゃきれいでした。
そんな感じで、個人的に縁を感じる本書なんですが、その内容は旅中のエピソードが少しと、そして内容の多くは遺跡の歴史的背景や様子に割かれています。知らない遺跡が多いと感じる方はもしかしたら読みにくいかもしれません。また、行ったことがないとなかなか親近感がわかないものだと思います。写真はあることはありますが、主な遺跡の主なみどころに限られているため、文章から遺跡の様子をイメージすることは難しいと思います。旅行記はこういった点で難しいと思うのですが、ガイドブックじゃないので、軽い気持ちで読む分には問題ないかと思います。旅行記、書けたら楽しいでしょうね~。
ここで紹介した本は下から選んでご購入いただけます。