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『世界の古代民族シリーズ フェニキア人』 – Vitrum Lab.

Books:本の紹介

『世界の古代民族シリーズ フェニキア人』2010.09.28

『世界の古代民族シリーズ フェニキア人』

世界の古代民族シリーズ フェニキア人

  • グレン・E・マーコウ著(現シンシナティ美術館古典・近東美術部およびアフリカ・アメリカ美術部部長)
    片山陽子訳
  • 2007
  • 創元社
  • 295ページ
  1. 歴史
  2. 都市
  3. 経済-商業と産業
  4. 言語と文学
  5. 宗教
  6. 美術・工芸
  7. 海外への商業発展

はじめにより

・・・本書の研究は、二つの異なる物語にまたがる。地中海東部のフェニキア人(フェニキア圏)について、と、西方のカルタゴ人(ポエニ圏)について。この二つを別々に語ることによって、両方を正当に扱えるようにしたつもりである。しかし紙面に限りがあったため、近年まで西方のポエニ人に比べて日の当らなかった東のフェニキア人のほうに主力を置いた。この二〇年でフェニキア本土にかんする考古学と歴史学の前線はいちじるしい進歩を遂げている。・・・

エピソード

フェニキア人が作ったとされる人頭玉の研究を始めたあたりから、なぜか立て続けにフェニキア関係の書物が出版され始めました。新旧含めてフェニキア関係の本を読みあさりました。特に最近の本は印刷技術も向上していてカラー写真付きだからうれしい。

vitrum lab.評

巻頭から数ページはカラー写真で、その中にガラス(フェニキア人頭玉)も含まれています。そしてフェニキア本土とカルタゴを含むポエニ圏の詳細な地図も掲載されており、何かと役に立ちます。意外と地図情報ってあったとしても主な地名しか載っていないことが多いのです。

数年前のものと本書を含む最近刊行されたフェニキア関係の本との間の目立った違いというのは、前者はフェニキア本土よりむしろカルタゴに焦点が当てられ、当時(そして今も)根強く残る人身御供など一風変わった儀式が取り上げられたり、ローマとの3度にわたる戦争の経緯と結末が中心的な内容だったが、後者は近年増加してきた考古学的証拠を基に、フェニキア本土がどのように栄え、周辺国と関係を持ち、繁栄してきたのかというようにカルタゴ等の植民地建設以前の歴史を詳細に述べている点でしょう。このことは「はじめに」でも述べられています。

フェニキア人は国家というものをもたずティールやシドンなどそれぞれ独立した都市を築き、それぞれの都市のやり方で生き残りをかけた駆け引きを行ってきたことが本書ではよくわかります。例えば青銅器時代後期、北の港町アルワドは主にシリアを市場とし、南のティールはエジプトやパレスティナが主な市場でした。しかしエジプトが没落するとともにティールも衰退し、代わってシドンが台頭してきます。各都市が、各時代においてどこと交易するかでその後の運命が変わってくる・・・・これは現在の状況と同じような感じです。

フェニキア人の工芸には必ずと言っていいほどガラスも取り上げられます。1世紀、プリニウスが『博物誌』において”フェニキア人の商人が砂浜で食事をとろうと、積み荷だったソーダ塊を鍋の台にして火をかけたところ砂とソーダ塊が混ざり合ってみたことのない透明な液体が流れた・・・・それがガラスの発見である・・・”と記述していることからもフェニキア人とガラスとのつながりが密接であることが分かります。もちろん考古学的にはもっと早くからガラスは発見されていましたが。

フェニキア人が活躍していた時代にはまだ吹きガラスは発明されておらず、粘土などで作られた芯にガラスを巻きつけるロッド成形で作られた器が主流で、これらの交易についてもおよそ1ページとはいえ、書かれています。フェニキア人のガラス交易に関してはこれでも割かれたページは多い方です。

ここで取り上げた内容はごくごく一部です。本書は目次からわかるようにあらゆる視点でフェニキア人を掘り下げています。関連書物が少ない中、フェニキア関係のものとしては必見ではないでしょうか。

vitrum labook

ここで紹介した本は下から選んでご購入いただけます。フェニキアシリーズは充実しています(笑)

2010.09.28 15:25 | ガラス, , 考古学

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