『アレクサンドロス』
『ジャンヌ』 『イエス』に続く安彦氏第3弾。西はマケドニアから東はインド手前のインダス川あたりまでの大帝国を築き上げた若き大王アレクサンドロスの物語。
前書『ジャンヌ』『イエス』では主人公を別に立てて物語を進めていましたが、本書ではアレクサンドロス本人が主人公となっています・・・といっても一緒に戦ったリュシマコスという人物の回想録という形式ですが。大王の周りには歴史家が多かったそうですが、資料の数の割に信用に値するものは少ないそうです。
今でも超人的な力で東征し、大帝国を築いた王として語り継がれていますが、本書はそういう伝説的な戦いの場面やどのように戦ったのかという戦略家としての面よりも、むしろ青年だった彼の青臭さ、敵であっても実力のある人物を登用したり、征服した都市の風習を認めたりなど寛大だった人間性を中心に描かれています。
発掘のために学生の頃に行ったレバノン、ティールは地中海に突き出た半島にありますが、もともとティールは陸続きではなく島でした。アレクサンドロスがこの都市を攻略するため、海を埋め立て、ティールを陸続きにして滅ぼしたといいます。この場面は描かれていませんでしたが、安彦氏に描いて欲しかった・・・という残念さは個人的にありました。
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