Books:本の紹介

“The Invention of Blowing”2010.11.16

The Invention of Blowing (Roman Glass: Two Centuries of Art and Invention, pp.46-55)

Roman Glass, Two Centuries of Art and Invention
*内表紙のコピーです(©The Society of Antiquaries of London)

  • Yael Israeli 著
    Martine Newby and Kenneth Painter 編
  • 1991
  • The Society of Antiquaries of London
  1. Preparation of the tubes (ガラス管の製作)
  2. The blowing of the tubes (ガラス管のブローイング)
  3. Shaping of the necks and rims (頸部・口縁部の成形)
  4. Preparation of tubes decorated with glass trails of contrasting colour
    (対照的な色のガラス紐で装飾された管の製作)
  5. The blowing of the tubes (管吹き)
  6. Forming of the neck and rim in bottles decorated with glass trails
    (紐装飾付ガラス瓶の頸部と口縁の成形)
  7. Conclusion (結論)

vitrum lab.評

この論文はたしかレバノン・ベイルートにある大学の図書館で見つけたかと思います。古代ガラスの論文を探すのは本当に苦労します。

吹きガラスは紀元前1世紀半ば、地中海東沿岸地域のどこかで、ガラスの管を吹くことから始まった・・・・・ということを示す、ガラス史上最も重要な考古学的発見と言っても過言ではない発掘調査に関する論文です。現在のところ、この発掘調査によって吹きガラス発祥の年代と地域が確定しています。もちろん、今後の発掘調査で新発見があるかもしれませが、今のところまだこれを覆す発見はありません。

「吹きガラスの発明」という名の通り、現在発見されている吹きガラスの遺物としては最古(紀元前1世紀半ば)の遺物に関する内容で、この遺物はガラス管の先が膨らんだ状態で発見されています。現在は鉄あるいはステンレス製のパイプでガラスを吹きますが、初期の吹きガラスはガラス管の先を閉じて膨らませていたのではないかとされています。

古代ガラスの技術を研究するのであれば必読の論文です。とてもとても重要な論文と思いましたので僭越ながら翻訳させていただきました。日本ガラス工芸学会刊行『GLASS』48(2005)に納められています。

vitrum labook

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2010.11.16 18:05 | ガラス, , 考古学, 論文

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