Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

「大英博物館 古代ギリシア」展2011.05.26

大英博物館 古代ギリシア展」究極の身体、完全なる美

  • 2011.3.12-6.12
  • 神戸市立博物館

神戸市立博物館に行ってきました。副題から想像されるように、石製やブロンズ製などの人物像が主な展示となっています。その他、人物が描かれた土器なども多く展示されていました。結果からいうとガラスは皆無でした・・・

さて、大々的に取り上げられていた像ですが、神や人間、小さなものから大きなもの、石製やブロンズ製などさまざまです。古代ギリシアでは他の宗教、特に一神教でよくみられるような絶大な力をもつ唯一神を作り出したのではなく、神ですら人間的な性格を与えています。姿を変えて美しい人間を誘拐したり、嫉妬心に駆られて旦那の不倫相手を殺そうとしたり・・・人間にはない能力があるだけにそれはそれは恐ろしい仕打ちをします。

とにかく、神にしろ人間にしろこれらを表現した石やブロンズの像は、現代のダイエットを促すTVに出てくるような理想の肉体を持ち、スリムで筋肉質なものがほとんどです。実際、当時は戦争も多く、市民の男性は体を鍛えることが求められました。筋肉のつき方や衣の襞の表現は実際にその人を型でとって製作したかのようにリアルに作られています。写真などでよく見ましたが、実際に間近にみるとやはり迫力があります。

個人的にガラス関係で興味をひいたものはアラバストロンと鍛冶の神ヘファイストスの2つ。

これらの像が作られていた時代、まだガラスとしては吹きガラス以前の時代にあたるものもあり、地中海ではフェニキア人が活躍していた時代にあたります。コア・ガラス、人頭玉、貼眼玉などが流通していた時代です。筒状の形をしたアラバストロンという容器が展示されていましたが、同時代のコア・ガラスと同じような形をしていました。

鍛冶の神ヘファイストスは紀元前520年頃の土器に描かれていました。この神はガラス製作に関わる場面でも登場する神です。エジプトで見つかった3世紀のパピルスに熔解ガラスではなくガラスの塊からガラスを吹く様子が書かれているのですが、そこに「彼は・・・ガラスの塊を取り、窯の中に置いた。炎の熱を受けた時、そのクリスタルはヘファイストスの力によって・・・軟らかくなった」とあります(Stern.E.M, Schlick-Nolte.B  1994 『Early Glass of the Ancient World 』 p.28)。この土器が作られた時代からおおよそ800年後のパピルスに登場するのは驚きです。

ちなみに、ガラスの展示はされていませんでしたが、全身像や肉体美を表現するためではないとはいえ、古代ギリシアの神々は型吹きガラスに登場したり します。

2011.05.26 23:39 | ブログ, 博物館へ行こう

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