Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

続 一つのガラスで作るワイングラス2012.03.17

今日は6時間ガラス吹きました~久しぶりだ。
昨日15時間も働いてしまい、モチベーションさがっていたんですが、
いざ吹くと集中力戻ってきました。時間の使い方逆だったらいいんですけど。

相変わらず一つのガラスでワイングラスを作っているのですが、ようやく形が定まってきて
あとは量産するのみになりました。といっても大きさそろえるのも大変なんですけど。

前回は底の部分をぐっと押し上げてステムを作りましたが、ステムは短い方が可愛いい形になるので、
あまりおおげさに押し上げずに作ることにしました。1つのガラスで作ると底面がボコッとくぼんでしまうため
ポンテをとるのが難しくなります。普通のポンテでは奥に入りすぎて、後で取るのが難しく、また、台が空洞なので
割れてしまう恐れがあります。

これを回避するためにポンテにいろいろ工夫が凝らされます。

「くくりポンテ」はポンテの根元をしぼって球状にしたポンテで、このしぼった部分からポンテを落とします。
なので、ポンテ跡として球状の塊がくっついた状態になります。実は、今作っているワイングラスのようにカップ部分と
台の部分が1つのガラスで作られているお碗が古代に作られているのですが、ポンテ痕として塊がくっついた状態の
ものがあります。これは実測図で確認しただけで、実際にその部分を直接見たことはないのですが、実測図からは
このくくりポンテの存在が推測されます。そうだとしたら古代の職人もポンテに悩んでいたんでしょう。

「二股ポンテ」(正式名称なのか分かりませんが)は、ポンテに2つの角をはやした状態にしておき、この2点でガラスを支える
ようにします。 この角のおかげでポンテがくぼみの奥まで入り込むのを防ぎ、また、底面との接点も小さいので取れやすくなります。
古代における存在は分かりませんが、本日のワイングラスは受注製品で割れては困るのでこのポンテを採用しました。

「炉材をわざと付けたポンテ」(もはやイメージが伝わる言い方も分からない)は、ようするにポンテ表面に白い粉状の炉材をわざとくっつけて
粘着力を落としたポンテで、形は普通のポンテと同じです。 粘着力が弱いので取れやすくなっていますが、ポンテ跡が汚くなるという
欠点があります。

ポンテだけでも色々あって、個人的には古代ガラス底面に塊のようなものが残っているのを何気に見ていただけだったのですが、
くくりポンテだとすると面白いなと思い、この製作を通じてまた研究ネタが増えたのでした。

ちなみに最初は↓のようなワイングラスだったのですが、これは台のみ違うガラスで作ったやつ。この時と比べると意匠変更はなはだしい(笑)

2012.03.17 22:59 | ブログ

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