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『海の底の考古学』 – Vitrum Lab.

Books:本の紹介

『海の底の考古学』2012.04.20

『海の底の考古学』

  • 井上たかひこ 著
  • 2010
  • 143ページ
  • 株式会社 舵社
  1. ヨット馬鹿が水中考古学者に
  2. 「失われた文明」への旅
  3. 日本の海に沈んだ幻の黒船を探せ!
  4. ついに発見!勝浦沖の黒船〈ハーマン〉号
  5. 神風に沈んだモンゴル艦隊の行方とは?
  6. 海から蘇る!元軍船の墓場に挑む
  7. トルコの僻地で登場した秘密兵器とは?
  8. ツタンカーメン王への最後の航海
  9. ドミニカ共和国のモンテ・クリスティ沈船に挑む その1
  10. ドミニカ共和国のモンテ・クリスティ沈船に挑む その2
  11. タイタニックを探せ その1
  12. タイタニックを探せ その2
  13. タイタニックを探せ その3
  14. タイタニックを探せ その4
  15. タイタニックを探せ その5
  16. コロンブス船を追う男たち その1
  17. コロンブス船を追う男たち その2
  18. 世界七不思議のひとつ、アレクサンドリア大灯台
  19. 古代エジプト女王、クレオパトラの海中宮殿(前編)
  20. 古代エジプト女王、クレオパトラの海中宮殿(後編)
  21. 南北戦争の新兵器、潜水艇ハンレー号の帰還
  22. 千葉県御宿町の海底に眠る、マニラ・ガレオン船の財宝
  23. トレジャー・ハンティング―ヘルダーマルセン号の財貨
  24. パイレーツ・オブ・カリビアン―海賊船ウィダ号の財宝と難破
  25. マラッカの宝船―史上最大級の財宝引き揚げ
  26. トラック諸島に眠る日本軍の大船団
  27. 蒸気船リパブリック号の金貨の山
  28. 紅海に沈む、なぞの大型帆船の積み荷
  29. 韓国・新安沖、巨万の陶磁器を抱いた船
  30. フィリピン沖に眠るスペインのガレオン船
  31. 国王陛下の旗艦、メアリー・ローズ号の引き揚げ
  32. エーゲ海、古代ギリシャの難破船
  33. バイキング王の宝物―サットン・フーの埋葬船
  34. アゾレス諸島へのクロスロード
  35. アトーチャ号の財宝
  36. 和歌山県の潮岬海底に沈むトルコ帝国の軍艦
  37. 南海シルクロードの遺宝―西沙諸島華光礁の宋代沈船
  38. アフリカ東海岸に沈むポルトガル船
  39. 天国から地獄―水中考古学の授業
  40. トルコ遠征よもやま話―難破船調査がごほうび

vitrum lab.評

著者は水中考古学者です。「水中考古学の父」といわれるジョージ・F・バス氏のもとで勉強した、もともとはヨット好きの方だそうで、脱サラして水中考古学の世界に飛び込んだそうです。その行動力はすごいと思いました。

本書はこれまで紹介した水中考古学関係の本とは少し趣が異なり、学術的な内容というよりもむしろ、彼自身が体験したことを簡潔にまとめて書いてあります。実際にはヨット、モーターボートの雑誌『KAZI』に連載していたものに少し加筆を加えてまとめられた本です。目次紹介を見ての通り、非常にさまざまな場所で活動しており、また、どれも有名な遺跡ですから興味をそそられます。地球の7割は海ですから、想像以上に水中遺跡が眠っているのかもしれません。それらの調査のことを著者はとても楽しそうに語っているのですが、やはり苦労もあったそうで、水中考古学では特に重要視される「保存科学」(遺物の劣化を抑え、博物館の展示や今後の研究に耐えうるものとして利用できるように化学的処理を施すこと)の学科では成績が悪く、ジョージ氏に「日本へ帰れ」と言われたエピソードがあります。堅苦しくみえる学問、ましてや水中に潜る技術をわざわざ身につけ、危険を冒してまでも潜って調査するという体力勝負の学問でありながら、それでもなおその道に進むには心底楽しまないと続けれたものではありません。著者の気持ちは大いに共感できます。楽しくなければ私もわざわざ研究のためだけに自腹で吹きガラスはやりません(笑)。

本書中にガラスはほとんど登場しませんが、トルコのボドルム、和歌山・串本で沈没したエルトゥールル号など、いままで訪れたり興味を持ったことの裏話を聞いているような感覚で読んでしまいました。あまり難しく考えず、気楽に一水中考古学者の体験を聞くという感じでさらりと読めるのが本書です。それにしても新聞や本でも水中考古学関連のものをよく目にするようになりました。日本は島国なので周囲の海にはまだ知られていない遺跡がたくさんあるといいます。そんな環境なのに実は水中考古学を学べるところはほとんどありません。ジョージ氏が串本のエルトゥールル号の調査に乗り出した時の「日本に海洋考古学のドアを開けにきました」という言葉が印象的でした。そしてその言葉通り、2009年に水中考古学を専門的に学べる大学ができたということです。そういった活動が少しずつ広がってきているんでしょうね。

vitrum labook

ここで紹介した本は以下で取り扱っております。

2012.04.20 22:55 | , 考古学

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