Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

京都でガラス玉出土2012.06.23

京都府長岡京市の宇津久志1号墳(5世紀前半)からガラス玉が出土したというニュース。

このガラス玉は金箔が挟み込まれた多層構造をしていることから「重層ガラス玉」と呼ばれており、
写真で見る色は黄金色をしています。成分分析からローマ・ガラスに特徴的な、ナトロン(天然ソーダ)を使った
ガラスであることが判明したことから、ローマ帝国内で作られた可能性が高いということです。
写真からはもう1つの玉の1部が残存して残っており、少なくとも2つ連なった連珠のような形を想像できる形となっています。
金箔を挟んだ重層玉というのは日本や中国、東南アジア、インド、イランなど各地で見つかっていますが、日本でよく知られているのは
奈良県橿原市の新沢千塚126号墳のものですが、分析は行われていないとのこと。今後、これを含む重層玉の分析が進めば、さらに
もっと色々なことが分かるようになると思われ、今後の研究に期待です。
ただ、ローマ・ガラスはローマ帝国領の拡大やシルクロードの繁栄とともに世界各地へもたらされており、例えば、その場で割れて使われなくなった
ガラスを熔かしなおしてガラス玉に作られた可能性もあり、成分がローマ・ガラスでも作られたのは別の場所ということも否定はできません。
吹きガラスの例ではありますが、古代イギリスではリサイクルガラスを使ってガラスを吹いていたことが分かっています
(The Glass Workers of Roman London 2009)。いずれにせよ、今後の成分分析が数多く行われ、技法の研究も含めた研究が
活発になると解明されていく問題だと思われます。

webニュースでもこの発見についてみることができます。

京都新聞

日本経済新聞

時事ドットコム

2012.06.23 09:37 | ブログ

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