初版がかなり古いですが、アイヌ玉に関する貴重な文献となります。玉類一般的な内容から、アイヌによる玉への考え方、呼称、使い方などの記述といった民俗学的な評価、それから外観からみた型式学的な内容と技法的な内容、そして歴史考証と、少ないページながら広い視点でアイヌ玉が研究されていることは意外でした。古い本なので読みにくいところもあったり、再確認が必要だと思われるところはありましたが、全般的には優しい内容で分かりやすかったです。また、質はそれほど良くはありませんが、カラー図版が付いており、ひとつひとつ丁寧な解説まであります。アイヌ人はほとんど記録を残していませんから、著者はよく調べられたと思います。また技法を探るために、工房を訪ね歩いたりしていたことは、私もそういうことをするので、個人的な興味は強かったです。今と違って昔は技術は門外不出なところがあったのでなかなか苦労されたかと思います。アイヌ玉研究にはかなりおススメいたします。