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「新発見!なにわの考古学2012」展 大阪歴史博物館2012.10.21

大阪城南西にある大阪歴史博物館で特集展示として「新発見!なにわの考古学2012」展が催されています。
大阪のあけぼのから江戸時代大阪までを中心に、各時代の代表的な遺跡や出土品を時代順に並べて大阪の歴史を
辿っています。

多くの出土品の中にガラス製作に関する遺物が展示されているので行ってきました。大阪でガラス製作に関する遺物が
出土することは珍しいかと思います。この遺物はいわゆる「たこやき型鋳型」とよばれるもので、粘土板に無数の小さな
穴を開けて焼き固めたもので、この穴にガラスの粉をつめて加熱・熔解し、ガラス玉を作りました。この穴の中心はさらに小さな
穴が開いており、 熔かしてできたガラス玉に穴が開くように芯を立てたのだと考えられます。

ちなみに一昔前までは、坩堝の中の熔解ガラスをこの鋳型に流し込んでガラス玉が作られていたと考えられることも
ありましたが、常温下ではガラスがたちまち硬化すること、こんな小さな穴に1つずつ粘度のあるガラスを流し込むことは
ほとんど不可能であること、などから現在はその方法は否定されています。しかし今でもまだ古代の職人が熱い坩堝を
つかんで、鋳型に流し込もうとするイラストを見かけることがあります。

穴の中には青いガラスが付着したままでした。粘土鋳型とともに発見された棒状の道具は、粘土板に穴をあけるための
ものだったと思われます。

難波宮が建てられる前の地層(古墳時代)からの出土で、当時、この場所でも製造されていたことがうかがえます。
同じような例は初の国産ガラスが作られたとされる奈良県飛鳥池遺跡などでも発見されていますが、ほとんど同じ
鋳型であることは非常に興味深く、このような作り方が当時すでに広く知られていたということになります。
また、後に難波宮が建つことになる場所での発見は、この場所が古墳時代からすでに活発に活用されていたとも
思えますので、この鋳型は、何気なく展示されていただけですが、結構な発見だと思うのですが・・・・発掘成果としては
どうだったのでしょうか?

ちなみに、このような鋳型でガラスを今でもつくっている興味深い例があります。それは意外にも日本から遠く離れた
アフリカのガーナ!粘土板に穴をかけて粉々に砕いたガラス粉を穴につめて、簡単な窯で焼いて熔かしてビーズを
作っています。中心の穴にはキャッサバを短く切ったものを差し込んでいます。時代も距離も越えて同じような技法が
存在することにも驚きます。このガーナのガラス作りに関しては『謎を秘めた古代ビーズ再現』に詳しく書かれています。

2012.10.21 19:39 | ブログ, 博物館へ行こう

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