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『ガラスが語る古代東アジア』 – Vitrum Lab.

Books:本の紹介

『ガラスが語る古代東アジア』2013.01.24

『ガラスが語る古代東アジア』

 

 

  • 小寺智津子 著
  • 2012
  • 216ページ
  • 同成社
  1. ガラスの特性と西方における発展
  2. 東アジアへのガラスの伝来と発展
  3. 漢代中国のガラス製品と社会
  4. 漢帝国の広がりとガラス製品
  5. 激動の東アジアとガラス
  6. ガラスにみるシルクロードの爛熟と仏教の隆盛

vitrum lab.評

本書はガラスで東アジアの歴史を紐解いていくという内容ですが、実は今までアジアを中心としたそういうグローバルな視点での研究はあまりされてきませんでした。ガラスというとどうしてもローマン・ガラスをはじめヨーロッパを連想しがちですし、中国といえば青銅器や陶器の印象が強いといえます。実際、中国史の中で吹きガラスは発展してきませんでしたし、朝鮮半島や日本も同じです。また、アジアのガラスはシルクロードを渡ってきた伝来品という扱いをされることが多いのですが、人やモノの行き来があるのは当然安定した国家が存在してこそなので、そこには当時の国同士の関係が大きく影響を与えているはずなのですが、そういった視点でガラスの移動について語られることはあまりありませんでした。

 

そのような状況でも貴重な資料は確実に存在しており(そして意外と多い)、それらから中国、朝鮮半島、日本の歴史をそれぞれの国同士の外交問題も含めながら考察されています。例えば日本のガラスで正倉院のガラスはシルクロードを通って伝えられたことはよく知られていますが、日本に伝えられるまでにどのようなルートを辿ったのかについて考えた時、本書によると単純に「中国を経由して」「朝鮮半島を経由して」といった単純なお話ではなくなります。なぜなら、当時の中国と日本は交流がなかったからです。そして朝鮮半島では高句麗、新羅、百済の三国が覇権を争い、日本(倭)は百済と同盟関係でしたが、新羅との交流も少なからずあったことを出土品が示しており、可能性として百済か新羅を経てガラスが日本にもたらされたと指摘しています。このようにその時その時の国際情勢によってガラスの入手経路は様々な可能性が生じることになります。考古学的な視点で国際情勢からガラスの動きを考察したところは非常に興味深く、今後の研究も楽しみです。

2013.01.24 23:37 | ガラス, , 考古学

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