Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

”レバノン共和国ブルジュ・アル・シャマリT.01遺跡と壁画地下墓”に関する研究会2日目①2013.11.21

研究会二日目はテーマごとに専門家の意見を交換し合うという場で、一方的にプレゼンを聴く前日とは
うって変わって、様々な面白い意見交換の場となりました。今後、報告書の作成となりますが、簡単に
討論の内容について紹介したいと思います。

ラマリ地区とブルジュ・アル・シャマリについて

レバノンは地中海東沿岸地域に属する国。東にシリア、南にイスラエルが隣接します。


奈良大学 2010年 『レバノン共和国壁画地下墓の修復』概要報告書より

ティールはレバノン南部の都市で地中海に突き出した半島です。古代は孤立した
島だったようですが、アレクサンダー大王がここを攻略するために海を埋め立て、
征服したと言われています。

調査隊は「シティーサイト」遺跡から歩いて10分くらいのところにある宿舎を拠点と
していました。私が調査に参加したのはラマリ地区の「TJ04」と呼ばれる地点。その後
2009年には「ブルジュ・アル・シャマリ」の私有地から地下墓が発見され、新たな調査が
開始されました。それを「T.01-Ⅱ」として調査するところまで行きましたが、イスラエルによる
空爆など情勢が悪化し調査は中断されたままとなっています。


ブルジュ・アル・シャマリ遺跡全景(奈良大学 2010年 『レバノン共和国壁画地下墓の修復』概要報告書より )

中央やや下にぽっかりと穴があいているのが壁画地下墓T.01、左上に5つの彫込石棺墓、右の穴は
最初は別の地下墓と考えられましたが何もそれらしい証拠が出てこなかったとのこと。しかしこの穴の
さらに右方向から新たに地下墓が検出されています。

今回の研究会のテーマとなる場所は以上のような発掘地です。
私はこのブルジュ・アル・シャマリの発掘には参加はしていませんが、
左上の彫込石棺墓の1つから大量のガラスピースが出土しており、
その調査をしているところです。

この発掘調査が一区切りついたところで、今後さまざまな課題に取り組まなければなりません。
今回、以下のようなテーマが設定され、討論会が行われました。

  1. 壁画地下墓の築造年代と被葬者
  2.  堀込石棺墓の築造年代と被葬者
  3. 壁画・モザイクのテーマと技法
  4. 保存・修復・環境管理、活用
  5. 歴史的位置

つづく

2013.11.21 10:36 | ブログ, レバノン, 研究会

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