Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

”レバノン共和国ブルジュ・アル・シャマリT.01遺跡と壁画地下墓”に関する研究会2013.11.20

科研費が終了するということでひとまず区切りをつける意味でレバノンに関する研究会が二日間にかけて
行われました。私は奈良大学が関わった発掘2002年~2010年までと、レバノン考古局が関わった発掘
1999年において出土した古代ガラスについて発表しました。発表に使った原稿も ↓ にあげています。
プレゼンとともに見ないと分かりにくいかもしれませんが・・・・

レバノン2013研究会プログラム

発表原稿(1部修正)

私は“ガラス工芸作家”扱いでしたが(笑)、たしかに無所属なので肩書きが難しいと
毎回講演会に招かれるたびに思います・・・・が、分かりやすく”古代ガラス研究”で
いいかと。

2002年からこの調査に関わりましたが、もう10年以上が経ち、ようやく発掘調査の
吟味を行うことができるといったところでしょうか。1日目の発表は

西山先生は調査概要をエピソードを交えて、ハッサン・バダウィ氏は地下墓出土のモザイクについてイタリアなど
その他の事例との比較を交えて、松田氏は切り石加工について、特に道具に関して。塩地氏は3次元測量調査について。
これは近年、とりいれられている測量で、PC画面上で立体的に遺跡の構図が分かる上、任意のところで水平軸にも垂直軸にも
切って見ることができるというもの。 ナーデル・シクラウィ氏は壁画の図像学から考察を、栗田先生は壁画の特に孔雀に着目
した議論を、私は古代ガラスの実験考古学的研究の成果を、辻村先生は地下墓の形態に特に着目した議論を、それぞれ
発表されました。

保存科学的調査の特徴はこのように非常に多角的な調査であるということ。現場では一緒に調査をする以上の研究者
も、それぞれどんな研究を行っているのかは現場の作業に追われているとなかなか知ることができませんが、このように
時間を経て、集まり、発表することで、研究内容を知ることができます。また、当時学生だった後輩も、いまや立派に
経験を積んでおりなんだか嬉しくなりました。

二日目は一日目の発表も含めて様々な課題について各分野の意見を聞く討論会。ここでも非常に面白い議論が
飛び交いましたが、後日お知らせします。非常に充実した二日間でありました。

2013.11.20 21:57 | ブログ

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