ブルジュ・アル・シャマリの地下墓からは壁画とモザイクが発見されました。
これらが示すものは?またこれらの技法について討論されました
奈良大学 2010年 『レバノン共和国壁画地下墓の修復』概要報告書より
階段を下りて地下墓に入ると、南側から北側の壁をみることになります。
北側は大部分が剥落していますが、逆さ吊りの鳥や魚、吊るし紐が描かれています。
東側にはアンフォラが2つ、パンと肉らしきもの、西側には孔雀、
南側にはリューシスという人物名、草木、天井には円と鳥などが描かれています。
これらの意匠はキリスト教成立以前の特徴があるとのことです。特に孔雀はキリスト教の影響を
受けた意匠は1対でセットとして描かれることが多いようですが、地下墓の孔雀は1匹だけだそうです。
興味深い指摘が西山先生よりありました。実はこの地下墓は過去に誰かが入ったようで、
孔雀の絵などの近くに鉛筆で孔雀とおぼしき落書きがありました。他の落書きも近くの絵を
まねて描いたようです。
そして壁が崩れて見えない部分にウサギの絵がありました。なので崩れて見えなくなってしまった部分は
もともとウサギが描かれていたのではないか・・・というお話。
実はレバノン滞在中に訪れた遺跡の中にウサギが描かれた地下墓を訪れたことがあり、すぐにそれを思い出しました。
これは面白い。
入り口入ってすぐの床にはモザイクが残っていましたが、これが非常に重要な発見物となりました。
なぜなら、ここに年号が書かれていて、地下墓の築造年だと思われるからです。
もちろんすでに紹介したとおり、この年号と壁画などが示す特徴で年代が一致せず、
解釈の仕方を熟考しなければならないようです。
年号が記されたモザイクも珍しいようです。