Books:本の紹介

『昨日までの世界』上 文明の源流と人類の未来2014.01.07

『昨日までの世界』上 文明の源流と人類の未来

 

  • ジャレド・ダイアモンド 著 倉骨 彰 訳
  • 2013
  • 414
  • 日本経済新聞出版社
  1. 空港にて
  2. 空間を分割し、舞台を設定する
    友人、敵、見知らぬ他人、そして商人
  3. 平和と戦争
    子どもの死に対する賠償
    小さな戦争についての短い話
    多くの戦争についての長い話
  4. 子どもと高齢者
    子育て
    高齢者への対応―敬うか、遺棄するか、殺すか?

vitrum lab.評

現代国家社会と伝統的社会を人間関係、戦争、子育て、高齢者といった現代社会がまさに抱える誰もが直面する問題を切り口に比較した本でした。この視点が面白かったです。人類学のような民族学のような、それでいて社会学のような。でも専門知識を必要としない分かりやすい内容です。

「昨日までの世界」は著者のニューギニアでの経験から始まります。1930年代にはまだ伝統的な生活を営んでいたニューギニア人が数多くいました。しかしこの数十年間でもう現代人のような生活を手に入れます。人間が数万年かけ現代的な生活様式に変化してきたことをたった数十年で。それは長い地球の歴史からみれば、伝統的社会であった時代の方が現代化して以降の時間よりはるかに長い時間を人類が過ごしてきたという歴史を、数十年間に早送りして見ているような感覚であると表現しています。しかしその昨日までの世界は新しい世界に置き換わったわけでもなんでもなく、いまも現代人の中に受け継がれているし、そこから学ぶべきこともあるとして伝統的社会の様々な生活を分析し、現代の問題の解決になる糸口を見つけようと試みています。

なぜ国家が誕生したのか。戦争がどのようにして始まりどのようにして終わるのか。子どもに対する体罰のあり方、高齢者に対する扱い、などの考察は非常に斬新な視点で、しかも身近な問題で参考にできそうな内容です。

2014.01.07 01:31 | その他,

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