Books:本の紹介

『銃・病原菌・鉄』 下2016.11.07

『銃・病原菌・鉄』 下

 

  • ジャレド・アイアモンド・著 倉骨 彰・訳
  • 2000
  • 草思社
  • 432ページ
  1. 第3部 銃・病原菌・鉄の謎(上巻より)
    第12章 文字をつくった人と借りた人
    第13章 発明は必要の母である
    第14章 平等な社会から集権的な社会へ
  2. 第4部 世界に横たわる謎
    第15章 オーストラリアとニューギニアのミステリー
    第16章 中国はいかにして中国になったのか
    第17章 太平洋に広がっていった人びと
    第18章 旧世界と新世界の遭遇
    第19章 アフリカはいかにして黒人の世界になったか
  3. エピローグ

vitrum lab.評

人類史1万3000年という長大な歴史を、タイトルにある「銃・病原菌・鉄」をキーワードにして辿るジャレド・ダイアモンドのベストセラー。
もともと人類が誕生した時点では互いにそれほどの違いがなかったはずが、なぜ今ではこうも多様な人間社会になったのだろうか?という人類史の大きなテーマを追及する。本書はその下巻。

上巻に引き続き、キーワードは「銃・病原菌・鉄」ですが、下巻ではさらに掘り下げて「文字」や「技術」、「集権化」といったサブキーワードが多く出てきます。また、上巻ではヨーロッパと南北アメリカとの比較が中心でしたが、そこで見てきたパターン(なぜスペインがインカ帝国を滅ぼし、その逆のことが起こらなかったのか)を、オーストラリア、中国、アフリカ大陸へと応用を広げていきます。

「もともと人類が誕生した時点では互いにそれほどの違いがなかったはずが、なぜ今ではこうも多様な人間社会になったのだろうか?」

この時間的、空間的な人類史をたどる謎説きを「銃・病原菌・鉄」というたった3つのキーワードに絞り込むまでに相当な研究が必要だったと思うのですが、もちろん、これは単純化しすぎるという批判もあることは著者も認めています。しかし、彼は本書で答えを解いたとは言っていない。こうしてシンプルに人類史を眺めてみると、新たに見えてくる問題があり、「この場合はどうか?」と最後の方にいくつかの例を挙げながら問いかけ、次の課題に挑む姿勢が感じられます。

考古学、人類学、生物学、地理学、民族学そしてそれらに付随する学問と、彼の豊富なフィールドワークをもって書かれた本書は、一見難しそうにみえて、一般人にも分かりやすく書かれているところが好感的です。

vitrum labook

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2016.11.07 22:16 | その他, ブログ, , 考古学

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