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『食糧と人類』 – Vitrum Lab.

Books:本の紹介

『食糧と人類』2017.05.18

『食糧と人類』

  • ルース・ドフリース 著 小川敏子 訳
  • 2016
  • 日本経済新聞出版社
  • 336ページ
  1. 人類が歩んできた道
  2. 鳥瞰図-人類の旅路ととらえかた
  3. 地球の始まり
  4. 創意工夫の能力を発揮する
  5. 定住生活につきものの難題
  6. 何千年来の難題の解消
  7. モノカルチャーが農業を変える
  8. 実りの争奪戦
  9. 飢餓の撲滅をめざして-グローバル規模の革命
  10. 農耕生活から都市生活へ

vitrum lab.評

人類が狩猟採集生活から農耕生活へ移行して1万2千年。それから現代までに人類は何度かの大規模な飢餓を経験しています。場所によっては今なお食糧不足に苦しむところがありますが、巨視的に言って今人類が繁栄しているのはこれらの飢餓を乗り越えてきた結果です。しかしここに至るまでの経緯は決して順調なものではなく、克服したかに見えては、自然からのしっぺ返しをくらい、また克服して…の繰り返しでした。この人類と地球の力比べの歴史を、食糧をテーマに見ていく内容となっています。最初のイメージは、食糧問題を大きく扱う内容だと思っていましたが、問題提起というよりも淡々と食糧と人間のかかわりが述べられているという内容なので、問題提起と解決策を提示するような内容でありません。
本書の歴史は地球の誕生から始まります。特に水の重要性を強調するためですが、この循環が植物を、そして人類は育むことになります。それから農耕生活、大航海時代におけるグローバル化の始まり、工業の発展、都市化、遺伝子組み換え技術の発明へと物語は進み、各段階で起こった病害、虫害と飢饉、それに対抗する人間の試み、殺虫剤の問題、戦争、肥満、格差問題など食糧から派生する様々な問題にも言及されています。
特に遺伝子組み換え技術は歴史でいうところの「最近」に発明された技術で、植物が持つ弱点を、ほかの植物の遺伝子を組み込むことで補う画期的な方法で、本書でも度々、人類の飢餓を救ったものとして触れられていますが(著者の考えというよりも一般的な考えとして)、遺伝子を短期間で変えてしまうこの方法が人体に及ぼす影響を知るには実験期間があまりに短すぎるため誰にも答えは出せていません。
以上のように食糧に関する大きな流れを知る概説書としてはいいですが、それにまつわる問題点や対策、そして著者自身の主張があまり語られることはないため、個人的には他の本も合わせて読むほうが問題意識は高まるように思います。個人的に勧める本は ↓ に挙げています。

vitrum labook

ここで紹介した本とお勧め本

2017.05.18 09:12 | その他, , 考古学

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